【発達障害児への視覚支援】気持ちを表現!絵カード3選と簡単な作り方

発達障害の子どもが苦手な事のひとつが、「見通しを立てる」こと。

「次に何が起きるかわからない」
「この先に何がくるのかわからない」不安から、パニックや癇癪につながることもあります。

そんなときの支援策として、療育施設などでよく使用されているのが「絵カード」や「見通しノート」で視覚的にサポートする、という方法です。

この記事では、発達障害児への視覚的なサポートの有効性を具体例とともにお伝えします。

また「絵カード」について、手軽に使えるアプリ、ネットで購入できるものや無料でダウンロードできるサイト、自分で作る方法やその際の注意点などを、様々なヒントと一緒にご紹介します。

視覚支援とは

発達障害の子どもは、絵や映像、シンボルなどで視覚的に物事を理解することが得意な子が多いです。

「脱いだ靴は揃えようね」と口で言うより、
「靴が揃って、並んでいる写真やイラストを見せる」
「靴を置く場所をテープで示す」

ほうが行動に移しやすいのです。

このように発達障害のお子さんに見られる「視覚優位の特徴」を利用し、言語による説明だけでは受け止めきれない情報を視覚から補助する方法を「視覚支援」と呼んでいます。

視覚支援を使う場面とその効果

ここからは、特別支援学級に通う、我が家の次男の例をふまえながらご紹介しますね。

私たち親子が通っていた療育施設では、各部屋に大きな動物の顔のイラストが貼られていました。
待合室で待っていると、担当の心理士さんがパンダの顔が描いているカードを持ってきて、「今からパンダさんのお部屋に行くからね」といって、パンダのお部屋に誘導します。

これだけでも、こんな効果がありました。

  • 初めての場所でも、ついつい「パンダ」につられて移動してしまう
  • 次回も「パンダのお部屋」で自分の行く場所がわかる
  • 他の部屋に移動しても「屋上」→「パンダ」というカードだけで移動がすんなりできる

もちろん、家庭や学校でも様々な場面で、サポートグッズとして使えます。
実際、次男にどのようなときに使い、どんな効果があったかをご紹介します。

【事例1】初めての場所でも次の部屋に怖がらず移動できた(5歳)

就学前相談で、市のとある施設に行った時。
初めての場所だし、建物全体が暗くて無機質・・・。
親だけが面談するため、子どもだけ離れて別の部屋に移動しないといけません。
その時、支援員さんが息子にスッと1枚の写真を見せ、「今からこのお部屋にいこうね」と言いました。
おもちゃがある部屋

 

息子はこの写真を見て、これから自分が行くところがどんなお部屋なのか理解できたのでしょう。喜んで、私達と離れることも嫌がらず、すんなり移動していました。

【事例2】見通しカードで夏休みの学童保育も笑顔で過ごせた(小1)

小学校入学後、初めて迎えた夏休み初日。
普段は1日の授業が終わると「学校」→「学童保育」という流れなのですが、その日は朝から1日学童で過ごしました。
初日が終わってお迎えに行ったら、先生から次男のその日の様子についてお話がありました。

  • お昼の前ぐらいにリュックを背負って「ママはまだ?」と泣いていた
  • 午後も何度か同じように泣いていた
  • 最後はTシャツを脱いで、タオルをくわえて落ち着いた

朝、口頭で「今日はお弁当持って、1日学童だよ」と伝えただけだったので、こうなるのは当然といえば当然でしたが、通い慣れているところなので、大丈夫だと思っていたのです。

先生からは
「誰が何時にお迎えなのかなど、1日の流れがわかるメモを書いてきてほしい」
とお願いをいただきました。
そこで、翌日、この「1日の流れ」の見通しを、字だけでなく絵でも描いてみたら、翌日は全く泣かないで1日過ごせたそうです。

一日の流れが書いてあるノート

学童の先生方も、その効果に大絶賛。

この日は、学童を途中で抜けて、学校の水泳に行く日だったんですが、張り切って行けたそうです。

【事例3】1日の流れを理解し授業中に落ち着きをなくすことがなくなった(小1)

夏休みが終わり、入学後の緊張感もなくなってきたころ。
授業中に落ち着かなくなることがあったそうです。
懇談会のときに普段使っている見通しボードを見せてもらいましたが、「あさの会」「きゅうしょく」など、すべて文字でした。

先生とも相談し、文字が読めない息子用に、このようなカードを作って学校で使ってもらいました。

手書きの絵カード

後ろにマグネットをつけて、ボードに貼ってもらったところ、1日の流れが理解できたのか、時間ごとに右往左往することなく落ち着いて1日を過ごせたそうです。

何より、「帰りの会」がいつなのか、終わりを理解することが安心感につながっていると、先生からご報告いただきました。

 

いかがでしょうか。これは我が家の息子の事例ですが、実際に様々な論文などで、発達障害児に絵カードを使用する効果が研究され、報告されています。

次は、実際に「絵カード」を手に入れる方法についてです。

絵カードを手に入れよう!

「絵カード」の効果はわかってはいるものの、手作りはハードルが高いですよね。
「実際に自分で作るとなるとかなり面倒・・・」
「どういう絵柄がいいのかわからない」
「絵は苦手・・・」

でもすぐに手元に欲しい!使ってみたい!という方に、ここでは絵カードを入手して使うための具体的な方法を、

  1. 市販の絵カード
  2. スマホのアプリ
  3. 手作りの絵カード

の3つに分けてお伝えします。

1,すぐに買える!市販のおすすめ絵カード3選

絵カードには、市販で購入できるものがあります。比較的、安価なものをご紹介しますね。

アドプラスオリジナル絵カード

「ごはん」「おやつ」「着替え」「リュック」「連絡帳」などの日常生活で使えそうな名刺サイズの絵カードセット。専用のスケジュールポケットもあるようです。
とにかく、手間なく、今すぐ欲しい!という方には便利ですね。
含まれるイラストの内容も商品紹介ページにすべて載っています。

 

改訂版ソーシャルスキルトレーニング絵カード指導事例集

こちらは絵カードそのものではなく、絵カードを使用した事例を集めた本です。
「ソーシャルスキルトレーニング絵カード」なるものが、シリーズで全15種類あるのですが、その使い方をまとめた事例集です。
ただこの絵カード、1セット4,104円(税込)です。
全部そろえたら大変なことになりますよね。
まずは事例集で使用方法や内容を確認して、お子さまの苦手と合致したものがあったらカードを買ってみる・・・でいいかなーと思います。
内容は、中高生にも対応しています。

 

発達障害児のための絵カード屋さん

発達障害のための絵カードやさん

イラストレーターのnaoさんは、発達障害のお子様向けに絵カードや学習プリント、ソーシャルスキルイラストを描かれています。
ホームページ上には、トイレ・病院・問題行動・身だしなみ・・・など、無料の絵カードのご紹介も、たくさんあります。
絵がほんわか優しくて、わかりやすいのが私のお気に入りです。

無料の絵カードは、右クリックして「名前を付けて画像を保存」でPCに保存できます。
保存したイラストは以下の方法でカードにできます。

 

2,手軽なスマホアプリで外出先でも使える!おすすめ3選

絵カードは温かみがあり、子どもが自分の手にとって、触って使えるのでとてもよい素材です。
しかし、外出先で使うのはとても大変!
荷物は増えるし、「この場面ではあのカードが欲しい」と思っても、道端や電車のホーム、お店の中などで、すぐに探し出せるものではありません。
その悩みを解決してくれるのが、スマホアプリです!
スマホならば一覧や検索ですぐに欲しいカードが出てきます。最近のスマホは画面が大きいので、十分に子どもにも見やすい大きさです。
無料のものから、まずは試してみてはいかがでしょうか。

えこみゅ(LITALICO lnc.)

https://app.litalico.com/cardtalk/jp.html

「気持ちを伝えるカードアプリ」えこみゅは、実際に学習教室で使われていた絵カードを、いつでも、どこでも、誰でも使えるよう、アプリにしたものです。

実際に教室で子どもたちに使い、改良を重ねているとのこと。
また、すべての絵カードに簡単な文字表記と、音声がついています。
無料で始められます。

App Storeからダウンロード

 

 

Google Play で手に入れよう

 

 

 

コバリテ・コミュニケーション((株)古林療育技術研究所)

https://www.kobarite.co.jp/

自閉症向け「行動支援ボード」を古くから開発している企業のアプリです。
実際に使われる絵カードやbookに近いUIで、めくるような所作ができます(めくり版は無料では2ページまで)。またカードを好きな位置に並べることもできます。

絵カードライブラリーに350種類以上用意されています。また自動読み上げ機能もついています。
無料で十分使えますが、マスター版には課金が必要です(200円/1か月、または2,000円/1年)。アンドロイド版はありません。

App Storeからダウンロード

Voice4u AAC(Spectrum Visions Global, Inc.)

アメリカ在住の日本人の主婦が開発した「Voice4u AAC」は、絵カードを通して意思を伝えるコミュニケーション支援アプリ。
自閉症や言語障害、認知症などの人々の気持ちや考えていること、行動、必要とするものを的確に伝えられます。発売以来、世界 100 以上の国、地域、家庭、教育現場、特別支援の現場で利用されています。
特徴として、用意されたイラストのほかに、自分で描いた絵や写真を取り込んでオリジナルの絵カードを作れます。作るのにかかる時間は最短5秒で!
また、自分の音声で読み上げもできます。
アプリでありながら、手作り感も出せる優れものです。
有料(6,700円~。条件により無料サービスもあり。要問合せ)。5台の端末にダウンロードできます。

 

App Storeからダウンロード

 

 

Google Play で手に入れよう

 

3,自分で作る! 簡単絵カードの作り方

「なるべくお金をかけたくない!」
「子どもと一緒に楽しみながら、自分で作りたい!」
そんな方に一番簡単な絵カードづくりの方法をご紹介します。

<用意するもの>

基本の名刺サイズで作る方法です。

・素材(写真、イラスト)
・用紙
・手で貼れるラミネート

〜他にあるといいもの〜
・マグネット
・ホワイトボード

<作り方>

  • 名刺カードを切り取り、イラストを描きます。
  • 手で貼れるラミネートでコーティング
    以上です。

名刺カードはこちらを使いましたが、何でもいいと思います。

 

機械いらず、手だけで簡単にラミネート加工ができます。

 

絵(イラスト)は、シンプルに、わかりやすく!情報を絞り込む

子どもの好みにもよりますが、わかりやすく簡単でシンプルなイラストや、文字を描いてみてください。
絵を描くときは、「情報を多くしすぎない」ことがいちばん大切なポイントです。発達障害の子どもは絵の中に「ノイズ」が多いと混乱します。
例えば「タオル」を示すのに、タオルの絵のほかに、そのタオルを持っている女の子を描いたとしましょう。子どもはそのカードが「タオル」を指すのか、「女の子」を指すのか、わからなくなってしまいます。
あくまでも「わかりやすく」「シンプルに」がポイントです!
毎日の流れが日によって違う場合は、後ろにマグネットをつけてホワイトボードに貼り付けて使用しましょう。

自分で描けない!という方へ

私もですが、絵が描けない!描くのがめんどくさい!という方には、ダウンロードしたイラストを印刷する方法をおすすめします。
先ほどご紹介した「発達障害児のための絵カード屋さん」も無料のイラストがたくさん用意されています。
他にも、例えば「子ども 食事 イラスト」などのワードで検索すると、たくさんでてきます。フリー素材などをうまく利用してください。

PCが得意な方は、Wordの差し込み印刷機能を使って、上でご紹介した名刺サイズのカードにイラストを貼り付ければ、一度の印刷で10枚分のカードができます。

バージョンにより多少違いますが、”差し込み文書”タブ→”差し込み印刷の開始”→”ラベル”で用紙を指定します。
”挿入”タブから図を挿入し、”図の書式設定”→”文字列の折り返し”→”前面”に設定し、枠に合わせてイラストを配置します。

写真をそのまま使いたい方は、L版で印刷してこちらのL版のラミフィルムに貼るだけです。

 

 

絵カード使用のポイントと注意点

どんなにいいものも、その子によって合う・合わないは、もちろんあります。
あっという間に使いこなして、見違えるように楽になる場合もあれば、
逆に「なんでそんなもの見せるんだ!」と拒絶される場合もあります。
この章では、そんなときにお母さんがどういう対応をしたらよいかをお伝えします。

嫌がっても無理強いしない。子どもの好みに合わせよう

せっかく時間をかけて用意した視覚支援グッズも、嫌がられたらお母さんはショックですよね。
でも、子どもの好みはそれぞれです。嫌がっても無理強いはしないで、まずは本人の意思を尊重し、確認しながら一緒に作るなど工夫してみましょう。
例えば同じ「トイレ」を表す絵カードでも、
写真もあればイラストもあるし、さらにはそれらに文字が添えられたものもある。
イラストにも、カラーもあればモノクロもある。
好みもあるし、何が一番理解しやすいかは、その子によって様々です。
何が気に入るかわからない場合は、まずは子どもに試してみて、気にいってくれたもの、効果があったほうを使う・・・というのがよいと思います。

 

まとめ

親にとって視覚支援グッズを用意するのは、非常に面倒なものだったりもしますよね。
でも、一度用意してしまえば、毎日のイライラがあっという間に解決してしまうこともあります。
何より、見通しがつくことで、子どもが楽になれる可能性が高まります。

ここでは「市販品・ダウンロード品」「アプリ」「手作り」とご紹介しましたが、ほかにも種類や方法、やり方はあります!
最初からうまくいかなかったとしても、
親子で一緒に、最適なものを見つけていけることを願います。

<参考資料>

「保育者が行う絵カード作成の誤りおよび不適切な使用方法の分類 指示カードの誤りに着目して」水野 智美 『教材学研究』2015 年 26 巻 p. 165-172
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyozai/26/0/26_165/_pdf

「待つ場面で行動問題を示す自閉スペクトラム症者への支援―「待ってに応じる」指導プログラムを福祉事業所で活用した取り組み―」 加藤健生(社会福祉法人はーとふる) 今本 繁(合同会社 ABC 研究所)
『自閉症スペクトラム研究』2018 年 15 巻 2 号 p. 51-60
https://www.jstage.jst.go.jp/article/japanacademyofas/15/2/15_51/_pdf/-char/ja

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