発達障害の子どもを育てている中で『感覚統合』という言葉を、聞いたことがある方も多いかと思います。
『感覚統合療法』などといって、発達障害の子どもへの有効な療育法の1つとして施設などで取り入れられています。
この記事では、
筆者の息子(発達障害:小6)がリハビリテーションセンターで習った、楽しみながら自宅で行える感覚統合遊びをご紹介します。
まずは、感覚統合がどんなものかを体験していただき、本格的に取り入れるきっかけになってもらえると嬉しいです。
感覚統合とは?
人間の感覚には、
大きくわけて以下の3つがあります。
- 五感(触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚)
- 固有受容覚(身体の動きや手足の状態の感覚)
- 前庭覚(身体の傾きやスピードの感覚)
脳に入ってくるいろいろな感覚とは、この7感覚(五感+固有受容覚+前庭覚)の事です。
これらの整理・分類することを、
感覚統合と言います。
感覚統合がうまくいっている状態
脳に入ってくるいろいろな感覚を、うまく整理し、分類できている状態。
感覚統合がうまくいっていない状態
脳に入ってくるいろいろな感覚を、うまく整理・分類できない状態。
結果、情緒面、対人面、学習面、言語面などの問題が起きてくる原因となる場合があります。
感覚統合がうまくいってないことで起こり得ること
- 周りの刺激(感覚入力)にすぐに反応してしまう。
- 触られることを極端に嫌がる。
- ブランコなど大きく体が揺れたり、不安定になることを極端に怖がる。
- 新しい場所が苦手。
- 頭を叩いたり、自分から強烈な刺激を求める。
- 体の痛みに気づかない。
- 跳び箱、縄跳びやボール投げなどが大きな運動が苦手。
- ことばが出ない。
- 目が合わない、振り向かない。
- 自分が思っていることをうまく言えない。
- 友達と上手く遊べない
- ルールの理解ができない。
- 待てない、すぐに怒るなど衝動的な行動をする。
- 気分の切り替えができない、こだわりがある。
※すべて感覚統合の問題だけからきているものとは、限りません。
感覚統合に問題があると、いろいろな活動に対して、失敗することが多くなります。
周りからは「怠けている」「甘えている」といった見方をされることも多くあります。
その結果、子供は自信がなくなり消極的になったり、
逆に投げやりになったりすることもあります。
自宅でできる感覚統合遊び10選
私たち親子はリハビリテーションセンターに通いました。
他にも福祉系大学の先生に定期的に診て頂きながら、家庭や学校でも楽しみながら感覚に働きかける遊びをいくつか教えてもらいました。
その中でも、
実際子供が喜び、効果があった遊びを以下に紹介します。
1,ふうせんバレー
ボールではなく風船を床に落とさない様にみんなで遊べます。
兄弟入り混じり皆で楽しめます。
目で風船を捉える、手への刺激に。
2,紙ちぎり
新聞紙・包装紙何でもかまいません。
ビリビリと好きに破る。一緒にするとストレス解消になるかも!?
聴覚過敏な子や細かな作業が苦手な子に。
3,玉運び
おたまとお手玉を用意します。代用できるものならなんでもOK。
ヨーイドン!で、玉を落とさない様運びます。
バランスや集中力を養ってくれます。
4,だるまさんがころんだ
歩いたり止まったり。みんなで賑やかに遊べます。
固有受容感覚(身体の動きや手足の状態の感覚)に働きかける動きです。
5,片足けんけん
片足でけんけんして、ここまで、と決めた場所まで上手くいけるかな?
前庭感覚(身体の傾きやスピードの感覚)に働きかけます。
6,のりまきぐるぐる
タオルケットや毛布などでぐるぐる自分で巻いてみたり、巻かれてみたり。寝る前に少し楽しみました。
触覚に働きかけます。
7,ぞうきんウォーク
ぞうきんをお尻の下に敷き、膝は曲げ、手は後ろにつく。
お尻で軽くぞうきんをおさえながら移動します。
結構楽しいと好評でした。
体の使い方が下手な子、筋力が不十分な子に。
8,片足立ちバランス
手をクロスにし、膝は直角に上げます。
何秒できるかな?と兄弟で遊んでました。
難しければ手は広げても大丈夫です。
平衡感覚を養い、バランスキープ特訓に。
9,手押し車
運動会でおなじみ?二人一組になり、一人がもう一人の足を持ち、持たれた方が手で移動していく。こちらも家族でやると盛り上がります。
腕の筋力・腹筋・持久力を鍛えます。
10,まねっこゲーム
誰かのポーズと同じポーズを真似るだけですが、みんなで遊ぶと楽しいです。
こんなポーズするんだ、なんて発見もありました。
視覚や運動神経を鍛えてくれます。
以上、玩具や遊具なしで楽しく遊べる、感覚を鍛えるものを紹介しました。
お家にあるなら、ボールプールも良いです。
触覚に刺激を与え、脳に良い効果を与えてくれます。
外遊びなら、靴や靴下が大嫌いな子だったので、就学前は裸足で泥んこ遊びをよくしました。(嫌がる子もいます)
今は、ブランコやドッジボールをお友達と上手くできる様になっています。
まとめ
感覚統合がうまくいかない子は、決して遊びたくない訳ではありません。
過敏だったり、
無反応だったりするのも、
その子によって様々な理由があります。
子供は楽しい事は大好き!
感覚が統合されるためには、
「ほど良く、無理のないチャレンジ精神」が大切です。
遊びの中で「前できなかったことが出来た!」という成功体験の積み重ねが、感覚の発達を促しています。
遊びを通して、いろいろな感覚に働きかけていくうちに、あらゆる感覚に慣れ、変化していく成長を今、まさに見ているところです。
半歩の歩みですが、12歳になった息子は今、クラスのお友達と休み時間になると、ドッジボールを楽しんでいます。
わからないから泣いたり叱っていた頃もありましたが、
正しい感覚統合の知識を持って接してからは、かなり改善点が見られました。
少しずつですが、一緒に私も成長できる様になってきました。
ゆっくりと、その時の子供の気持ちを聞きながら、これからも歩んでいくつもりです。
皆様も、是非ともご自宅で楽しく感覚統合遊びを、取り入れてみてくださいね!
※本格的に指導を受けたい方は、近隣の療育施設などにお問合せください。