子どもが勉強している時の様子を見て、「あれっ?」と思うことはありませんか?
- 音読がたどたどしい…単語の区切り方が違う…1行飛ばして読んでいることに気づいていない…
- 板書が途中で終わっている…文字が鏡文字になっている…文字の大きさにばらつきがあり、マス目からはみ出している…
- 足し算引き算の記号が理解できていない…繰り上がり繰り下がりがうまくできない…
慣れればできるようになるだろうと見守っていたものの、進歩が見られないと気になり始めてくる親御さんは多いでしょう。「しっかり読みなさい!」「丁寧に書きなさい!」「よく記号を見て!」などとお子さんに声かけをしながらも、なぜできないのか理解ができずにいるのではないでしょうか。
ここでは、実際に読み書きに苦手意識があったお子さんをサポートしてきたご経験のある、発達凸凹アカデミーインストラクターの水上きよみさんに伺ったサポートグッズをご紹介していきます。
「読み」編
「読み」で苦手なケース例
- たどり読みになる
- 滑らかに読めず、途切れ途切れに文章を読む(逐次読み)になる
- 行の読み飛ばしがある
- 読んでいる部分を見失う
- 読み間違うことが多く、文末などを適当に自分で変えて読んでしまう
- 読んでも、意味が理解できない
- 「は」を「わ」と読むのか「は」と読むのかわからなくなる
などがあります。
おすすめの「読み」サポートグッズ3選
①リーディングトラッカー
読んでいる文章をスムーズに追うことができず、同じ行を何度も読んでしまったり、行を飛ばしてしまうお子さん向けです。リーディングトラッカーを読みたい文章に当てると、文字が浮き上がって見やすくなります。読む行に合わせて、リーディングトラッカーをずらしながら読んでいきます。
おすすめの色はあるのでしょうか?
ご紹介した7種類ほどの色がセット販売になっていますが、青と黄色のシートが見やすいというお子さんが多いようです。使うことで読みやすくなると学校でも使いたいという気持ち出てくるかもしれないです。担任の先生と相談して学校で使えるようになるといいですね。
②拡大教科書
学校で支給される教科書よりも大きいサイズの教科書「拡大教科書」があります。通常の教科書に比べて、文字が大きいだけではなく、漢字はルビ付きです。学年が上がるにつれて、行間が狭くなって読みにくくなってきますが、拡大教科書の場合は行間を広くとってあったり、文節ごとの区切り(分かち書き)もされているので、読みやすくなっています。
拡大教科書は学校に申請して、支給される形式になりますが、存在を知らない先生も多いため、特別支援教育コーディネーターをされている先生や管理職の先生にご相談してみると良いでしょう。
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小学校3年生くらいから教科書の行間が詰まってきて、漢字も増えてくるので、単元ごとにルビを振ったり文節ごとにスラッシュを入れたりしていましたが、読みにくそうにしていました。早めの対策が良さそうですね。
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我が子はまだ大丈夫かなと思っていても、学年が上がるにつ入れて、漢字が増えたり行間が詰まってきたりすると、読みにくくなることもあるので、早めに申請してみるのはどうでしょうか。
③マルチメディアディジー教科書
別名「デジタル教科書」 と呼ばれ、文部省と日本障害者リハビリテーション協会 が発行しているものです。
文章を代わりに読み上げてくれる上に、今読んでいる部分をハイライトで示してくれます。聞きながら文章を追うことができるため、音読の宿題のサポートができます。音声を男女別に選べたり、読む速度や文字の大きさ、ルビの有無を選んでお子さんに合わせて設定することが可能です。
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便利ですね!!音読が大変そうだったので、代わりに読んであげていました。でも、だんだん母の余裕がなくなり、子どもが音読自体を諦めてしまいました。マルチメディアディジー教科書の力を借りればよかったです。申請方法はどうすればよいのでしょうか?
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申請は親自身が直接ネットから可能です。診断が下りていないお子さんやグレーゾーンのお子さんでも申請することができます。申請後、1週間~10日程で審査結果が届くと共に、該当する教科書をダウンロードすることが可能になります。
「書き」編
「書き」が苦手なケース
書くという動作には、文字を見て、音に変換して、覚えて、手を動かすという、いくつかの工程があります。そのどこかに苦手があり、スムーズにいきません。読むこと以上に労力が必要です。
- 筆圧が不安定で字が濃くなったり、薄くなったりする
- ノートのマスや行から大きく字がはみ出してしまう
- 年齢相応の漢字を書くことができない
- 文字を書く際に余分に線や点を書いてしまう、または線や点が足りない
- 促音や拗音を書くのが苦手
- 文字のバランスが悪い
- 鏡文字を書く(幼少期の発達段階で誰にでも起こりうるので、必ずしも鏡文字だけで「書字障害」とは言えないので、観察が必要)
などがあります。
おすすめの「書き」サポートグッズ6選
①鉛筆
文字に興味を持ち始めた幼稚園・保育園のお子さんが初めて使う鉛筆として売られている『公文式のこどものえんぴつ』は、「書き」につまづきのあるお子さんにとても有効です。他の鉛筆と比べて、太さがある上におにぎり型の三角鉛筆になっているため、握ったときに力が伝わりやすく書きやすい鉛筆です。6Bや4Bの濃さの種類があるため、筆圧の弱いお子さんでも弱い力で書くことができるので、書くことへのハードルが下がるのではないでしょうか。
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公文式のこどものえんぴつを見たことがあります。軸が太いなと思っていたのですが、筆圧の弱い子供に向いていたのですね。太いから筆箱に入らないような気がしました。
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そうなんです。公文式のこどものえんぴつは軸が太いため、入学した時に使われる挿すタイプの筆箱の場合、挿しにくいという課題が出てきます。そのため、公文式のこどもえんぴつは自宅での使用をおすすめします。加えて、軸が太いため、専用の鉛筆削りが必要となります。
②鉛筆グリップ
学校に持っていく鉛筆は、筆箱に挿しやすい細さの濃い鉛筆に『プニュグリップ』を鉛筆の先に装着して使用することをおすすめします。装着することで公文式の鉛筆と同じくらいの太さになり、書きやすくなります。『プニュグリップ』は右利き用と左利き用とあり、100円ショップで手に入りやすいこと、グリップ自体がやわらかいシリコンでできているため握っていても安心できるメリットがあるため、気軽に試すことができます。
③滑り止め付き定規
左手で定規を持って、右手で線を引く(左利きのお子さんはその逆)というように、左右バラバラの作業をすることが苦手なお子さんもいます。線を引くことに集中すると定規を持っている手がずれてしまう、定規をしっかり押さえることに集中すると線が引けなくなってしまうことが生じてきます。
滑り止め付き定規を使うと、シリコン素材が一部使われているので、紙の上でピタッとくっつくため、定規がずれるという心配がなくなります。
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④消しゴム
書き間違えた文字を消しゴムで消すときに、力加減が上手にできず、紙が破れてしまったり、消さなくてもいい部分まで消してしまったりすることがあります。イライラして、勉強を続けるのが嫌になってしまうお子さんもいますね。
そんな時は、スティック式の消しゴムを使ってみるのはどうでしょうか。消しゴムの先が小さな球種になっているので、細かい部分でも必要なところだけ消すことができること、シャープペンシルのようにカチカチッと押して必要な分だけ消しゴムを出すことができることで、「消す」時のストレスが軽減されます。
◎スティック式消しゴム mono
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⑤コンパス
小学校3年生になると、算数でコンパスを使うことが出てきます。指先でコンパスの上の部分を持ってくるっと回すことがとても難しく感じるお子さんもいます。円が書けない、きれいな円にならないことで、嫌になってしまうことが起きます。
ユニバーサルデザインで作られた『くるんパス』は、指先ではなく、手のひらで握ってぐるっと回すことができるため、指先だけで回すよりも安定した状態で円を描くことができます。通常のコンパスにキャップを装着して使うため、円を描くことに慣れてきたらキャップを指先だけで持って回す練習をしたり、キャップを取って従来の方法で使うこともできます。
◎くるんパス
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⑥カラーマスノート
文字のバランスがうまく書けない原因として、「マスの空間を捉えにくい」、「細かく手を動かすことが難しい」などがあります。マスの空間を捉えることができるようにするために、マスを4色のブロック分けをして文字のどのパーツがどれくらいマスを占めるのかを教えていく方法、その文字の各パーツの書き始めの箇所に印をつけて大きさを覚えさせる方法があります。
カラーマスノートは、マスが4色に色分けされているノートで、マスを4色のブロック分けをすると文字のバランスがつかみやすくなります。
◎カラーマスノート
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漢字やひらがなの入っていない無地のノートもあります。自分に合ったノートを選んでみてくださいね♪
お子さんのサポートをするときに心がけたいこと
読み書きが苦手なお子さんへのサポートグッズをご紹介してきましたが、グッズを使うときに心がけておきたいことがあります。
お子さんの意思を尊重する
みんなと同じ教材や文房具を使うことが難しいなどとお子さん自身が困っているようであれば、サポートグッズの紹介をすることは問題ないのですが、それを使うかどうかを決めるのはお子さんに委ねてみませんか。みんなと違うものを使うことに抵抗がある場合もあるので、お子さんの気持ちを親御さんが受け止めてくれるだけでもお子さんは安心します。
例えば、「家だけで使ってみる」ということもありますし、「もう少し様子を見たい」ということもあるでしょう。お子さんの意思を尊重できるといいですね。
サポートグッズを使うメリットを伝える
お子さんが学校でもサポートグッズを使用したいと思い始めた時、学校の先生へ使用の快諾をお願いすることになります。その時、これまでの本人の様子を伝えて、「リーディングトラッカーを使うことで、今までよりも音読がしやすくなります」というように、サポートグッズを使うことで得られるメリットを先生にお伝えすることをおすすめします。
また、サポートグッズを使うことについて、クラスのお子さんに説明が必要になる場合も出てくることもありますが、お子さんが少しでも学習に取り組みやすくなるように先生とご相談しながら進めていけるようにしたいですね。
まとめ
- 読み書きが苦手なケースにはどんなものがあるかを知る
- 読み書きをサポートする工夫やグッズを知る
- お子さんのニーズに合わせて、お子さんの気持ちを尊重する。
サポートグッズをご紹介くださった、水上きよみさんより…
お子さんに読み書きに苦手意識がある場合、親御さん同様、学校の先生も手探り状態となっている可能性もあります。家庭での様子、学校での様子をこまめに情報交換しながら、サポートグッズを使って少しでも学習への悩みが軽減されていくこと、親御さんとお子さんが安心できる日々が送れることを願っています。