学校へ持っていく荷物は親御さんがしっかりと確認して持たせているものの、学校から持ち帰り忘れたり提出物を出さずにそのまま持ち帰ってくるお子さん。
・「今日、これを先生に渡してね!」と伝えたのに、ランドセルに入ったまま…
・宿題を持ち帰り忘れたら、家で宿題ができない…
・鉛筆や消しゴムがなくなっている…
毎日のようにまめに声かけをしているにも関わらず、結局怒ってしまう日々に疲れてきている親御さんもいらっしゃることと思います。
ここでは、忘れ物をしてしまうお子さんに隠された原因と親御さんにできる対応策を考えていきます。
- 1. 忘れ物が起こる背景
- 1.1. 荷物が見つからない
- 1.2. 同時進行が苦手
- 1.3. どうしたらいいのかわからない
- 2. 親ができる忘れ物を減らすサポート方法
- 2.1. 教科別にファイルケースに入れる
- 2.2. 色分けして目印を作る
- 2.3. 配布物や提出別にクリアファイルを分ける
- 2.4. 「なんでもファイル」を1つ用意する
- 2.5. 筆記用具のストックを多めにする
- 2.6. チェックリストやメモを活用する
- 2.7. 指定席を作る
- 2.8. 先生にも協力をお願いする
- 3. 「忘れ物はしてしまうもの」と割り切る
- 3.1. 忘れ物をしても責めずに励ます
- 3.2. できていることに目を向ける
- 3.3. 一緒に考える
- 4. まとめ
忘れ物が起こる背景
たびたび生じる忘れ物に、きつく注意をしてしまったり責めてしまったりしてしまいますが、お子さんの忘れ物が生じる原因として考えられることをご紹介します。
荷物が見つからない
家から提出物や必要なものを持ってきたつもりなのに、学校に着いたらその荷物がみつからないということもあります。親御さんと確認しながらランドセルに入れたはずなのに、自分で必要なものが見つけられないお子さんもいます。
同時進行が苦手
一度に複数のことに注意を向けることが苦手なお子さんの場合、何かをしながら別の何かを同時に行なうということが上手にできないことが頻出します。例えば、先生の話を聞きながら連絡帳に記入するという作業の時に、先生の話に気をとられてしまい、連絡帳を書くのを忘れたまま帰ってきてしまう事があります。
物事の優先順位を考えたり、次の行動に気を取られて今まで使っていた道具をどこかにおいてきてしまい、どこに置いたのか思い出せない事もあります。例えば、鉛筆や消しゴムが筆箱に入っていないまま持ち帰ってしまい、親御さんに指摘されて初めて気づく事もあります。
どうしたらいいのかわからない
家から持ってきた提出物を出さずにまた持ち帰ってくることもあります。本当に提出し忘れているのかもしれませんが、提出することはわかっているけれど、「いつ」「どこに」提出すればいいのかわからなかった可能性もあります。そして、質問をするタイミングがつかめず、そのまま持ち帰ってしまっているケースも考えられます。
親ができる忘れ物を減らすサポート方法
お子さんが忘れてしまう原因を観察してみたり、お子さんに忘れてしまった時の出来事を聞いてみるのも1つの方法かもしれません。ここでは、親御さんにできる忘れ物を減らすサポート方法をご紹介いたします。
教科別にファイルケースに入れる
整理整頓が苦手なお子さんの場合、1つのファイルケースに1教科で使う一式を入れておくと、出し入れがしやすくなったり、机の中やランドセルの中から探すときも見つけやすくなります。ファイルの中に入っている教科の写真を撮ってファイルに貼り付けておくと、片付けるときにも確認がしやすいでしょう。また、その教科でもらったプリントもファイルに入れておけば、紛失する可能性が低くなることも考えられます。
色分けして目印を作る
ファイルケースではなく、教科別に色を決めて、教科書やノートにシールやマスキングテープ等で目印をつけておく方法もあります。国語は赤、算数は緑…というように決めておくと、文字が読みづらいお子さんでも同じ色のものを集めて準備をすることができます。ノートの場合、色別にノートが用意できればいいですが、難しい場合は、シールやマスキングテープ等を貼るのに加え、ノートの片隅に教科名を書いた色テープを貼り付けて、机の中から取り出すときにテープの色や文字で見つけやすくする方法もお勧めです。
配布物や提出別にクリアファイルを分ける
宿題をもらったら、「宿題」と書かれたファイル、学校から配布されたプリントは「○○(例:お母さん)に渡す」と書かれたファイルに入れるなど、学校で手渡されたものを入れる指定席(ファイル)を作ってあげるのはどうでしょうか。
家庭で取り組んだ宿題はそのまま「宿題」のファイルに入れて、学校に持っていくようなルーチンが作れるようになると、提出しやすくなるでしょう。
宿題のように毎日出すものは宿題を出す指定の場所が用意されているかもしれませんが、提出期間が長い書類等は「先生に渡す」と書かれたファイルに入れて、ファイルごと先生に直接渡すように説明してみてはどうでしょうか。そのことを先生にもお伝えしておくと良いですね。
ファイルも用途別に色を分けておくなど、お子さんと一緒に工夫をしてみると、お子さん自身の持ち物管理の意識も少しずつ高まりそうです。
「なんでもファイル」を1つ用意する
用途別にファイルに入れる方がわかりやすいお子さんもいますが、整理整頓が苦手なお子さんの場合は、手にしたプリントをどこに入れたらいいかわからない事もあります。
もらったプリント類をとにかく入れておく「なんでもファイル」や「なんでも袋」を1つ用意するのもいいですね。持ち帰ったものを家庭で仕分けておくこともできますし、見つからないプリントがあるときはなんでもファイルの中を探してみることもできます。
筆記用具のストックを多めにする
筆箱に入っている筆記用具が不足していた時に備えて、家庭で筆記用具をストックしておき、足りないときは補充するというパターンをお勧めします。また、三角定規やコンパスなどの学用品を学校用と家庭用と2セット用意しておく方法もお勧めです。ストックを多く持つことは大変なことですが、学用品を持ち帰り忘れてお子さん自身がパニックになったり落ち込んだりすることも考えられます。「大丈夫だよ」とストックから持ち出しできることで安心感にも繋がります。
チェックリストやメモを活用する
学校に行く前にチェックリストに丸印をつけて確認させたり、学校から持ち帰り用のチェックリストを学校に持っていって、帰る前に丸印をつけて確認させるのも一案です。ランドセルの裏ポケットや連絡帳など毎日必ず目にする場所にチェックリストを貼り付けておくといいですね。
指定席を作る
忘れ物や失くし物を親御さんに指摘されて初めて気づく場合、もしかしたら「なくなっていることに気付かない」ということも考えられます。例えば、筆箱の中のえんぴつや消しゴムをしまう場所や数をお子さんと決めておく方法もあります。必ずそこに入れることで、筆箱に「あるかないか」が確認できますね。
先生にも協力をお願いする
親御さんができるサポートにも限界はあります。先生にも教科別にファイルに入れていること、提出物専用のファイルを用意していることなど、家庭で行なっている工夫をお伝えして学校でのサポートもお願いしてみるといいでしょう。
「提出物は青いファイルに入っている」と、先生も把握できれば、「青いファイルはあるかな?」とお子さんに声かけができたり、先生自身が一緒に探す時も探しやすくなるでしょう。また、学校から持ち帰るときも、しっかりファイルに入れたり、チェックリストに目を通してチェックしているかどうかを確認してもらいやすくなりますね。
「忘れ物はしてしまうもの」と割り切る
親御さんが手厚くサポートしても、忘れ物がなくならない可能性もあります。視点を変えて、「忘れ物はしてしまうもの」と、心の準備をしておくといいでしょう。
忘れ物をしても責めずに励ます
忘れ物や物の紛失が続くと、「また忘れ物したの?」と言いたくなりますね。でも、忘れ物をして一番困っているのは本人のはずです。忘れ物をしたことを責めるのではなく、「家にもストックはあるから大丈夫だよ」「○○を忘れて辛かったね」という声かけをして励ましてあげると、次は気を付けようという気持ちが徐々に芽生えてくるでしょう。
できていることに目を向ける
「どうしてできないの?」「何でまたなの?」と怒られることが多いお子さんは、褒められることが少なくなりがちです。水筒を持ち帰ってきたら、「水筒を持って帰ってこれたね!」連絡帳を見せてくれたら「連絡帳を見せてくれてありがとう」などと、できていることに目を向けて声かけをすると、お子さんも自信につながります。忘れ物がなかったときには、積極的に褒めて子どものモチベーションをキープできるといいですね。
一緒に考える
親御さんだけで工夫策を練るよりも、お子さんと一緒に「どうしたら忘れ物が減るかな?」と考えてみることをお勧めします。最初は親御さんが提案しながら、お子さんに合ったやり方を探ってみるのはどうでしょうか。1つ1つ改善していくことで、少しずつ「忘れ物をしないようにしなくちゃ」という自覚が生まれて、忘れ物が減っていくといいですね。
まとめ
- なぜ忘れ物が起こるのか、原因を知る。
- 忘れ物が起こる背景に合わせて、お子さん自身ができる対処方法を考える。
- 家や学校に予備の文房具等を用意しておく。
忘れ物と言っても、本当に忘れてしまっている場合やどうしたらいいのかわからずできなかった場合など、様々な理由があります。お子さんを責めたり叱ったりするのではなく、どんな背景があったのかをお子さんに確認し、対処方法を親御さんが提示したり、一緒に考えたりできるといいですね。
先生との連携も並行しながら、お子さん自身ができそうなことから実践して、お子さんに合った忘れ物対策が見つかることを願っています。