子供の癇癪への正しい対処法とは?効果の見える3ステップ8項目を解説

子供の癇癪について、悩んでいませんか?

「幼稚園や保育園ではいい子だけど、家に帰ると一度泣き出すとなかなか止まらない」
「大きくなったら落ち着くと思っていたが、ひどくなる一方で不安を感じている」
「子供が癇癪を起こすと母親の自分も怒鳴ったり、無理に泣き止ませようとしてしまう。どうすればおさまるのかわからない」
「まわりの子はもうこんな風にならないのに、自分の育て方が悪いんじゃないかと自分を責めてしまう」
「癇癪があまりにひどく、発達障害の診断は出ていないが、育てづらさを感じている。知的な遅れはないし認めたくないけれど……」

そんなお母さんたちのために、この記事では、2,000人の発達障害の子供をみてきた療育の専門家 浜田悦子先生による子供の癇癪に最も効果的な対処方法、普段の生活で癇癪を起こさない・起こしづらくなるための対策について紹介します。

浜田悦子
おうち療育アドバイザー 浜田悦子

実際にここにある方法で癇癪を起こさなくなり、自分で自分の気持ちをコントロールできるようになったお子さんが大勢います!

読み終わったときには、子供の癇癪の起きる原因、起こっている最中の対処方法や、お母さん自身の心のもちようについて、理解が深まり、たくさん共感していただけると思います。

子供の癇癪は「刺激」で増幅され、繰り返すと「強化」される

癇癪とは何か?
子供が癇癪を起こすきっかけとなる「刺激」とは?
癇癪を繰り返すことで癇癪の症状が「強化」されるって本当?

それらについて、ここでは詳しく説明します。
また癇癪を繰り返すことでどのような弊害が出てくるのかについても詳しくお伝えします。

子供の癇癪とは?

子供の癇癪は具体的には以下のような状態を指します。

  • 大声(金切り声)を出し、泣き喚く
  • 床に身体を投げ出し、海老ぞりになり、暴れる
  • 物を手当たり次第に投げつける、手近にある物を叩きつけるなどして破壊する
  • 周囲にいる人間(大人、子供問わず)を殴る、蹴るなど他害行動を取る
  • 自分を叩く、頭を打ち付けるなど自傷行動を起こす
泣く子供

癇癪は子供にとって不都合な何かがきっかけ、原因となり起こります。子供によりきっかけや原因はさまざまですが、思い通りにならないことへの、子供からの信号発信と考えられています。

一方で、その「不都合な何か」が取り払われたからといって、すぐに癇癪がおさまらないこともよくあります。これは、子供自身が怒りや悲しみ、理不尽さへのネガティブな感情をコントロールしきれていないからだといわれています。

癇癪のきっかけと考えられる原因3つ

①生理的な原因

おもに乳幼児など、言葉が未発達な場合は、「眠いのに眠れない」「お腹が空いた」「オムツが濡れて不快」などの生理的な要因により泣いたり喚いたりして感情を表します。それが癇癪のようにあらわれる場合もあります。
これはごく自然な赤ちゃんの感情の表れ、成長の過程にあらわれる状態といえるでしょう。

一方で、言葉を覚え始めた幼児期になってから「頭が痛い」「喉が渇いた」というような比較的単純な感覚から、「肌に服の布地があたって不快」「食べ物の味が気に入らない」「部屋が明るすぎる」などの五感への刺激で不快を感じ、それをうまく伝えられず、泣き喚いたりする場合があります。このとき言葉で伝えながらも感情をコントロールできず、「癇癪を起こしている」場合もあります。
この時期から癇癪がパターン化し、大人になるまで続くなど、改善しないことがあります。これについては次の章からじっくり説明します。

服装

②対人的な原因

癇癪は子供の状況により様々な要因があります。幼稚園や保育園に入る前後からは、他者との関わりにおいて、「自分の要求が通らない」場合に泣いて癇癪を起こす場合があります。この場合の「他者」は自分のお母さんや家族、遊び友達、全くの他人まで広い範囲にわたります。

上記①②に共通するのは、自分の欲求が満たされないことへの不満、不快感から起きるということです。
ただし、継続して起こる、パターン化してしまう癇癪の場合、原因やきっかけとは別に、引き起こされた癇癪のコントロールができなくなり悪化していることがあります。

③発達障害に関する原因

自閉症やADHDなど、発達障害と診断されている、もしくはその傾向のある(グレーゾーン)子供の場合、意思の疎通や言葉の遅れ、他者とのコミュニケーションの難しさから自分のしたいことや欲しいもの、要求を伝えきれずに癇癪を起こす場合があります。
発達障害に関する癇癪の原因については、このあと簡単に説明します。

癇癪を左右する「刺激」とは?

上記のきっかけで引き起こされた癇癪は、「刺激」を受けることによってさらに増幅されます。

ここでいう「刺激」とは、特別な感覚ではありません。私たちが五感で感じ、受け取れる外部情報を指します。

  • 目に見える(視覚)
  • 聴こえる(聴覚)
  • 触れる(触覚)
  • 味わう(味覚)
  • 匂う(嗅覚・臭覚)

この他に

  • 気温や湿度など(体感)

これら外界との接触は感覚として神経を通じ私たちの脳に伝わりますが、この全てが癇癪を起こしている子供にとっては、よりいっそう癇癪を増幅する「刺激」となってしまうのです。

耳を塞ぐ子ども

例えば、癇癪を起こしていない通常の状態の大人であっても、真剣に考え事をしている時に、聞いてもいないことを横からあれこれ言われたらどう感じるでしょうか。集中を妨げられ、煩わしくなるのが普通でしょう。「嫌だ」「不快だ」と感じるのではないでしょうか?

癇癪を起こしている子供にとっては、この状態の何倍、何十倍も苦しい状態が起きていると考えられます。

例えば、癇癪を起こしている子供をおとなしくさせようとお母さんがその腕を掴み、目を見つめて、大きな声で慰めたり、説得したり、叱りつけたりした場合は

  • 「声、言葉」=聴覚への刺激
  • 「視線」=視覚への刺激
  • 「拘束」=触覚への刺激
子どもを叱る親

これらが子供に与えられることになります。これらの「刺激」は癇癪を起こしてパニックになっている子供に伝わり、さらに苦しい状態をつくり上げます。
たとえそれが大好きなお母さんの声や視線だとしても、「不快な刺激」となって、よりいっそう状況を悪化させるのです。

実際に、子供ではありませんが、発達障害当事者の方からのこんな声があります。

「癇癪やパニックの最中は自分では止められないくらい暴れてしまうのだけど、周りの声はとてもよく聞こえている。それが余計にパニックを引き起こしてしまうんだ。」

では、「刺激」を与えないためには、一体どうすべきなのでしょう?

癇癪は繰り返すと強化される

癇癪を「繰り返す」ことを避けなければなりません。
何故なら、癇癪や、パニックによる行動や他害など、いわゆる「問題行動」と呼ばれるものは、繰り返すことで「練習する」のと同じ現象が起きていると考えられているからです。

例えば、誰でもはじめから包丁で玉ねぎのみじん切りを上手にできるわけではありません。毎日繰り返し練習することで手際が良くなったり、スピードが上がったり、細かく切ることができるようになります。これは、苦手なことでも繰り返して練習しているうちにコツを掴み、やがてパターンとして認識され、スキルとして上達する、すなわち「強化」されていくということです(注:発達障害の場合は例外もあります)。

たまねぎのみじん切り

これと同じことが、癇癪をはじめとする「問題行動」の繰り返しでも起きていると考えられています。

もしも毎日癇癪を起こしている子供がいるとすれば、それは日々癇癪を「練習」し、「強化」しているということです。

癇癪が「強化」されると、具体的には

  • 癇癪の頻度が上がる
  • 泣き方がもっと激しくなる
  • 暴言や暴力が激しく出て来る

このような症状が起きます。
そして癇癪が繰り返され「強化」されていくにつれ、やがて次の段階(二次障害)になる可能性も高くなります。

なので、癇癪などの問題行動を「強化」しないためには、「繰り返す」ことを避ける、つまり「事前に対策をする」「最中に正しい対応をする」必要があるのです。

笑顔の親子

子供の癇癪をなくすための3ステップ8項目:癇癪を起こす前・最中・後

実際に子供が癇癪を起こすと、お母さんや保護者の方は焦り「何とかして落ち着かせなければ!」と考えてしまうのではないでしょうか?

特に癇癪が起きた場所が外出先(店の中や乗り物の中)だと、なおさらでしょう。周りの人たちの目が気になり、落ち着かせようと子供を抱きしめたり、声をかけて励ましたり、なだめたり、と色々試みる……けれど、子供の癇癪は余計にひどくなり、最後にはお母さんは子供を怒鳴りつけてしまう。

この繰り返しに覚えがある方も多いのではないでしょうか。

なだめる母親

しかし、おそらく多くのお母さんたちがとっているであろうこの対応は、実は子供の癇癪を収めるには「逆効果」です。その対処法は、より癇癪を長引かせる「間違った対処法」といえます。

何故ならすでにお伝えしたとおり、癇癪の最中に与える「声」「視線」「触覚」……すべてが子供にとっての「不快な刺激」となり、いっそう癇癪の症状を大きく増幅してしまうからです。

この章では、子供が癇癪を起こさなくなるようにするためにはどのようにすべきなのか、具体的な方法を「癇癪を起こす前」「癇癪を起こしてしまっている最中」「癇癪を起こした後」の3ステップに分けてお伝えします。

癇癪を起こす前にすべきこと

①子供の観察をしてメモを取り癇癪の起きる原因を知る

子供の癇癪をなくすためには、子供の観察が必要になります。

癇癪は「繰り返す」ことを避けなければなりません。
10回癇癪が起きれば10回「練習」され、100回起きれば100回「強化」されていきます。回数を重ねるうちに行動が定着していくことになるため、癇癪が日常的にパターン化している場合も少なくありません。
すでに「練習」「強化」を繰り返してしまい、パターン化している場合は、癇癪が起きている間の「無反応」を徹底することから対策を始めていきますが、まだパターン化していない場合は、できるだけ癇癪を起こさせないようにすることが大切になってきます。

子供の行動を観察し統計をとることが不可欠なのです。

具体的には、子供が癇癪を起こす原因やタイミングを知るために、一定期間メモを取り、統計します。

②メモの具体的な取り方とその理由

子供がどういうときに癇癪を起こすのか、癇癪の引き金、きっかけとなる事柄や行動手順、状況を把握するためにメモを取ります。
メモを取るのは面倒と感じるかもしれませんが、当サイト監修者である「おうち療育アドバイザー」浜田悦子先生のデータによると、メモ(記録と統計)を取っていた家庭のほうが、子供の癇癪の改善が多く見られています。

浜田悦子
おうち療育アドバイザー 浜田悦子先生

メモは、癇癪を起こした際の状況について以下のような項目を設定し、継続して取り続けます。

<日時>〇月〇日 午前〇時
<状況>朝ごはん時
<癇癪の推測理由>朝ごはんを食べたくなかった?
<取った対処方法>無反応
<癇癪の継続時間>約〇分
<気づいたこと等>お腹がすいていない?もっと遅い時間がよいのかな?

これを続けることで、少しずつ「どういうときに癇癪が起きるのか」というのが見えてきます。

統計を取ることは、癇癪のパターンを見つけるためでもありますが、子育てがラクになるヒントを見つけることにもつながります。
例えば、いつも着替えの時に癇癪を起こすお子さんならば、「癇癪のきっかけ=着替え」ということから、さらにその奥にある理由や対応まで考察することができます。

  • まだ一人で着替えることが難しいのかな?
  • 触覚過敏があるのかな?
  • 手順表(絵カード)を準備すればできるかな?

このように、様々な視点から子供を観察し、原因を探ることができるようになるのです。
メモを取ることは、手間のかかる遠回りな作業に見えて、実は確実に癇癪を軽減させやがて消失させるための一番近道の方法です。

メモ

統計を取っていくと、癇癪につながっている原因が見えてくるでしょう。
癇癪には、必ず「原因」があります
もちろん、目に見えにくい原因もありますが、「メモと統計を長期に継続する」ことによって、必ず、癇癪のきっかけや原因が見えるときが来ます。
きっかけと原因が分かれば、それらを取り除くことで癇癪は確実に減っていきます。

癇癪を起こしている最中の正しい対処法「無反応」とその理由2つ

③癇癪の最中は「無反応」を徹底する!

癇癪を改善するためには子供自身の力だけでは難しく、大人の適切なサポートが必要です。
そして、癇癪を起こしている子供の周りにいる大人がすべきことは、「無反応」を徹底することです。

この対応をとるべき理由は2つあります。

1つ目の理由は、癇癪への「刺激」を極限まで減らすため。
言葉も視線も、全ての感覚がその子供にとっては「不快な刺激」となってしまう、その「刺激」を与えないためです。

癇癪を起こしている子供は、いわばパニック状態です。子供の意思で暴れているように見えますが、自分ではどうしようもない、よく分からない状態の中にいます。
自分で自分を止められない子供にとっては、大好きなお母さんの声や言葉、視線、触れてくる手ですら「不快な刺激」になることはすでにお伝えしました。
声をかけられることで、余計に苛立ちや不快感、パニックが増幅され、まさに火に油を注いでしまうことになるのです。
「癇癪が起こってしまった」としたら、励ましも、慰めも、効果はありません。

泣く子供

これに対して最も効果的な方法が、「無反応」という対処法です。
無反応とは「子供が感じ取れる言葉も視線も体感も一切かけない(与えない)」ということです。
自分で自分をコントロールできない、どうしようもない状況の中にいる子供を、落ち着くまではそっとしておくことが最も大切です。

無反応を徹底する2つ目の理由は、癇癪を繰り返し「練習」し「強化」することを回避するためです。
癇癪を起こしている最中の子供に「刺激」を与えることは、どんどん癇癪を「強化」することになります。
無反応をすることで、癇癪を起こしている最中の刺激が減り、子供は徐々に自分で自分をコントロールして、癇癪から立て直す(=落ち着きを取り戻す)練習を繰り返すことができます。

<参考:ものを与えるのは逆効果!>

ものを与えて一時的にその場をおさめることはやめましょう。
ものを与えることで子供の癇癪が止むと、癇癪を収めるのに効果があると大人は考えてしまいますが、逆にそのこと自体も刺激になるうえに、「癇癪を起こす=ものがもらえる」という誤ったパターン認識をさせてしまい、かえって癇癪を悪化させることになります。

④子供が「自分で自分に折り合いをつけている」邪魔をしない

子供は癇癪を起こしている間に、つらい、不快だ、悲しいなどの様々な感情と「葛藤」しています。
ここで例えば、「静かにしなさい!」などと制止すると、その感情をしっかりと自分で味わい、子供自身が自分に折り合いをつける前に「刺激」が与えられ、興奮状態が余計に強くなります。
感情を落ち着かせるためには、癇癪を起こしている激情を十分に味合わせて納得させることが大切です。
そのためにも「無反応」を貫いてください。

洗濯物に集中する母親
家事などに集中

ただし、無反応=無視ではありません!

⑤無反応をする=「見て見ぬふり」をする理由2つ

「無反応をする」とは、完全に無視することではありません。具体的には「見て見ぬふりをする」ということです。

子供に刺激を与えないためにと、子供を放置して外出してしまうことは危険ですので絶対にやめてください。
子供の様子を、必ず少し離れた場所から、横目で静かに観察しておくことが大切です(子供からは見えなくなる死角へ姿を消すことは、場合によってはオススメしています)。

理由は2つあります。

1つ目は、子供が癇癪を起こしている最中、命に係わる危険な行動を起こした際、すぐに駆けつけ、止めるため。
2つ目は、癇癪が落ち着いてきたらすぐに子供に「共感」できるようにするためです。

くりかえしますが、無反応は、無視とは違います。

特に、この2つ目の「共感」があることで、子供は癇癪を起こしている自分のネガティブな気持ちに折り合いをつけ、立て直すことができるようになるのです。

癇癪がおさまった後

⑥共感する

子供が癇癪を起こし、周りの大人が無反応をすることで徐々に落ち着き、癇癪がおさまったときが、最も大切な時間です。
お母さんや大人はすぐに子供のそばに行きましょう。そして、子供に「共感」することが大切です。
「共感」とは、具体的には抱きしめたり、言葉をかけたりすることです。

くりかえしますが、癇癪の最中は「無反応」
癇癪がおさまってから「共感」をしてください。

例えば、スーパーでお菓子を買ってほしいと駄々をこね癇癪を起こした子供は
・そのお菓子がほしい!
・そのお菓子を食べたい!
と、思っているはずです。
その時の子供の気持ちを、そのまま代弁してあげましょう。具体的には

「(お菓子を)欲しかったね」
「食べたかったね」
「買えなくて、悲しかったね」

このように言葉をかけます。

この「共感」こそが、子供の心の成長につながります。
お母さんや周りの大人の共感を経て、子供は自分自身の力で、自分の気持ちに折り合いをつけることができるようになるのです。

優しい声がけ

<参考:「落ち着きなさい」は子供が落ち着いた状態の時に言う>

「落ち着いているね」
という言葉は、「子供が落ち着いている」状態で掛けてほしいと思います。
何故なら「落ち着く」という言葉は抽象的なため、子供には「どういう意味なのか」理解しづらいからです。
しかし癇癪を起こしていたり、暴れている子供によく大人は「落ち着きなさい!」と注意してしまいます。
「落ち着く」とはどういう意味なのか、どういう状況や状態を指すのか、分からないのですから、「落ち着きなさい」と言われてもできるはずがありません。
実際に子供が落ち着いている状態のときに「今、あなたは落ち着いているんだよ」と声に出して言葉をかけることで、子供は「自分が今、落ち着いている」と理解できます。「落ち着いている状態」と「言葉」が一致して、言葉を聞いて自分の感情や状態をコントロールし立て直すまでを早く行えるようになります。
これは癇癪の後だけでなく、普段子供が落ち着いている状態のときにも、折に触れて声かけをしてあげることをオススメします。

⑦お説教はしない

癇癪を起こしたことや起こしている最中のことなど、くどくどとお説教をすることはやめましょう。そのことがまたネガティブな感覚を思い出させ、癇癪のきっかけになります。また、お説教のように話が長いと子供は内容を理解することができませんし、責められたと感じてしまいます。

子どもを叱る親

お説教は、お母さん自身の『わかってほしい!』気持ちがあふれています。せっかくの共感が、台無しになります。
もし、何か教えたいことがあれば、お子さんの機嫌がいい時、落ち着いている時にしましょう。

あくまでも、無反応によって子供が一人で感情を落ち着かせ立て直したことを受け入れ、共感することに徹してください。

⑧引き続き観察し、メモを取る

癇癪を起こす前にすべきことを続けます。
「癇癪中の無反応」「癇癪を起こしていない状態の観察と癇癪を起こす場合のきっかけ」を記録していきます。

次の章では「癇癪を起こさないために心がけること」をお伝えしますが、その際にこのメモ、記録が役立ちます。

子供が癇癪を起こさないためには?心がけるべき6つのこと

子供によって、癇癪のスイッチは違います。
勝負にこだわる子供は、勝つこと以外にも「一番」にこだわる。失敗に弱い子供は、遊んでいた積み木が崩れただけで、癇癪につながったりもします。

積み木

それらの子供によって異なるパターンを探し、事前に周りの環境や設定を変えることで、癇癪につながりにくくすることができます。

この章では、「子供が癇癪を起こさないようにする」ために必要なことを見ていきましょう。

観察記録から子供の傾向を予測するための3項目

1,子供が見通しの立てやすい言葉かけや、視覚的な指示を心がける

「このテレビが終わったら、お着替えをしようね」
などのように、次の行動が子供にも見えやすい、見通しが立てやすいように、あらかじめ言葉かけをしておくと、子供は次に何をするのか行動が切り替えるために、気持ちも切り替えやすくなります。

メモ

2,子供の嫌いなもの、苦手なものを知る

食べ物の味の好き嫌いはよくあることですが、匂いや触感、明るさ、広い意味では場所が急に変わるなどでも子供は嫌がることがあります。
例えば、いつもは3時になったら広いお部屋に移動して自由に遊べていたのに、その日は移動がなくそのまま帰宅となった場合などです。
子供が何を嫌がり、何を苦手としているか、普段からよく観察し、メモをつけておくことで「癇癪のきっかけではないか?」と推測する役に立ちます。

3,子供のこだわりを知る

こだわりの強い子供がいます。例えば、絶対にお昼寝の時には決まった毛布でなければ眠れない、などはよく聞かれる話です。お気に入りのおもちゃを絶対に手放さない子供もいます。こだわりが強い子は、不安が強い子です。
毛布を洗濯する場合は理由を説明することももちろん大切ですが、言葉の理解が不十分な場合は、不要な癇癪が起きないよう、必要以上に洗わない、同じおもちゃを増やすなど、環境を整えてあげましょう。

おもちゃ

具体的な事前対処の3つの方法

4,現在のリズムや設定を少し変えて様子を見る

いつも同じタイミングでぐずりはじめたり癇癪を起こすなら、そのタイミングを少しずらして様子を見る方法があります。
例えば、いつも朝ごはんを7時半から食べていたとします。朝ごはんが始まるといつも癇癪を起こすなら、時間を少し遅らせて8時からにしてみましょう。それで癇癪を起こさなければ、その状態を続けましょう。

今のやり方で子供が不快に感じているなら、どうしても不都合な場合を除き、それをかたくなに守る必要はありません。臨機応変に、子供の状態を見て、少しずつタイミングやリズム、設定をずらして、子供の最も快適に感じる状況をつくってあげましょう。

5,視覚的に提示する

例えば、絵カードなどで「次になにをするか」「今どんな気持ちなのか」を示し、意思疎通する方法があります。
これは発達障害の子供に有効な方法として知られていますが、言語が未発達な幼児の場合にも、状況をわかりやすく伝えることで見通しを立てたり、癇癪の原因となる不快なものを明らかにすることが可能です。

一日の流れが書いてあるノート

6,ルール(パターン)を決める

癇癪が起きていない間に、子供と一緒にルールを決めておきましょう。これは言葉がある程度理解できるようになった子供に有効です。
例えば、「すごく怒ってしまったとき、どうすればいいのか」と、落ち着いている気持ちのときに、子供と話し合います。これは「落ち着くとはどういうことか」を、落ち着いているときに説明するのと同じです。
それでも、実際に癇癪が起きているときに気持ちを抑えることは大人でも難しいことです。

そんなときは「怒ってしまったら、深呼吸を3回する」など、行動パターンを決めて実行してみる方法があります。これは行動をパターン化、ルーチン化することで緊張から開放されるなど、プロスポーツ選手の間でも実際に行われている心理コントロール方法です。
何かひとつ、やりやすいことから決めて実行してみるとよいかもしれません。

子供の癇癪と向き合うママが大切にすべき2つのこと

癇癪を起こしている子供のエネルギーは凄まじいものがあります。正しい対処法を知らない場合、ただただ泣きわめき暴れる子供に困り果て、やがて自分の感情も引きずられて混乱し、激情に支配されてしまうお母さんも多いのではないでしょうか。

ここでは、子供の癇癪と向き合って日々頑張っているお母さんたちへの「共感」についてお伝えします。

自分への共感を忘れない

子供が癇癪を起こすこと、それをしずめられない自分に対して、辛い気持ちだけを持ってはいけません。

「子供が悪い!」
「いい加減にして!」
「勝手にすればいい!」
「なんで私ばっかり!」

こんなふうに怒りや悲しみなどのネガティブな感情でいっぱいになってしまうと、お母さん自身が精神的にも肉体的にも疲れ果ててしまいます。

疲れる親

癇癪は永遠に続くものではありません。疲れたときは子供よりも自分に目を向け、頑張って子育てしている自分を認めてください。
そして、できることから少しずつ始めましょう。

息抜きをする

「いつまでも癇癪を起こしている我が子をどうしたらいいかわからず、ネットしか相談できる場所がない」
そんな人も多いのではないでしょうか。

同じような境遇の人は、実はたくさんいます!

ネットで相談することも気休めにはなりますが、直接同じ境遇の人たちと話をすることで、心が落ち着き、自分だけが苦しんでいるのではないと勇気づけられ、安心することができます。
また、自分の経験を話すことで、同じように悩んでいる人の役に立つこともできます。

もちろん、悩みを相談するばかりではなく、気晴らしで好きなことに打ち込む、旅行に行くなど、子育てに一点集中するのではなく、必要に応じて息抜きをすることを忘れないようにしましょう。
それによって、また子供と向き合い、共感し、一緒に成長することができます。

同じ悩みを経験した方が待っています!ランチ会・相談会スケジュール

ランチ会・座談会

子供の癇癪と発達障害の関連性

癇癪を起こしやすいことが、すぐに発達障害と結び付くわけではありません。
しかし、発達障害の子供にある傾向が、癇癪の原因と絡んでいる場合もあります。

発達障害には、大きく分けて自閉症、高機能自閉症、注意欠陥多動性障害、学習障害という4つの領域があります。

①自閉症
・言葉の発達の遅れがある(知的な遅れを伴うこともある)➡言語や知的な遅れがない場合は②とされる
・他人との社会的関係の形成の困難さを伴う(コミュニケーションの障害)
・興味や関心が狭く特定のものにこだわり、パターン化した行動をとる
・その他(目が合わせられない、など)

②高機能自閉症(アスペルガー症候群を含む)
・知的発達の遅れや言語の遅れは伴わない➡言語や知的な遅れがある場合は①
・他人との社会的関係の形成の困難さを伴う(コミュニケーションの障害)
・興味や関心が狭く特定のものにこだわり、パターン化した行動をとる
・その他(手先が不器用な傾向がある、突出した集中力や高い記憶力をもつ場合がある、など)

③注意欠陥多動性障害(AD/HD)
・年齢に見合わない不注意さがある(なくしものや忘れ物、うっかりミスが多い)
・多動、多弁、集中力不足、衝動的行動
・上記の特徴から、社会的な活動や学業の機能に支障をきたす

④学習障害(LD)
・基本的には全般的な知的発達に遅れはない
・聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用が極端に苦手
・特に「読字障害(文章を読めない、読んでも理解できないなど)」「書字障害(字が書けない、鏡文字を書くなど)」「算数障害(数字や記号の意味が理解できないなど)」がよく見られる

このうち、言葉の発達の遅れがある場合は特に他者とのコミュニケーションが難しくなります。
言語の遅れがなくても、発達障害の子供の傾向として他者の意図をうまくくみ取れない、コミュニケーションの障害が見受けられることがあります。

また、発達障害の子供は、特定のものや行動パターンに強くこだわりをもったり、衝動的行動を取ったりという傾向が強い場合があります。そのため、そのこだわりが他者や何かの原因でうまく行かなかった場合に、強い不快感を感じてしまいます。
これらの要因がきっかけとなって癇癪を起こすこともあります。

とはいえ、必ずしも癇癪と発達障害が結びつくとは言い切れません。
発達障害かどうかの判断は安易に行わず、しかるべき専門機関で、慎重に判定を行ってもらうことをおすすめします。

まとめ

子供の癇癪について、お話ししてきました。

癇癪は起きる前に対処をしておくことがまず第一に必要です。日頃から、子供がどういうときに癇癪を起こすのか、観察し、記録しておきましょう。

癇癪が起きてしまったら、お母さんをはじめとする保護者の方は「無反応」を徹底してください。子供が怒りや理不尽に対する苛立ちを感じている、その感情を味わっていることを妨げてはいけません。
癇癪が起きている最中は、お子さんと、お母さんをはじめとする保護者の方の身の安全を確保します。
「無反応」を貫くうちに子供が落ち着いたら、抱きしめたり言葉をかけてあげて、存分に「共感」してあげましょう。このとき、お説教は厳禁です。

癇癪の波が過ぎ去ったら、再度「どういうときに癇癪が起きるか」「何に対して苛立ちや不安を感じているのか」記録を取り続けましょう。
これを繰り返すことで、多くの場合、少しずつ子供の癇癪は症状が改善していきます。

ここで紹介した癇癪への対処法は、お子さんがどんなに大きくなっても遅いということはありません。
あきらめなければ必ず解決する日がきます。
実際に、ここで紹介した対処法でお子さんの癇癪が改善した方が数多くいらっしゃいます。

お母さん自身のケアも忘れずに。
「毎日完璧にしなければならない」と自らを追い込むのではなく、「できる時に」「できることから」チャレンジしてください。

この記事が子供の癇癪とその対応についての理解を深めるきっかけとなり、お母さんとお子さんとのよりよい関わり合いのための、お役にたてればとてもうれしく思います。

<記事監修> おうち療育アドバイザー 浜田悦子

発達凸凹アカデミー 子どもの発達基礎講座「効果的な支援策」開発者。
”元発達支援センター指導員”で”自閉症スペクトラムの息子の母”という2つの経験を生かし、同じ悩みを持つお母様方に、家庭でできる療育アドバイスやカウンセリングを行っている。 3歳の頃から、自身の子どもに効果的な支援策を実践。一般級の中でも自分の苦手を理解し、行動できる子に。児童発達精神科のドクターからは、「3年以内に診断が外れる可能性が高い」と言われるまでに成長。
これまで2,000人以上の発達障害の子どもの指導、600人以上のママたちの相談にのってきた経験から、数多くの事例を書いたブログやメルマガが人気。
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