進級や新学期が近づくにつれ、お子さんが不安定になっている様子がみられるようになってくると、親御さんも心配になります。

今までと同じ学校に通うのに…
せっかく落ち着いてきたと思ったのに…

と、感じることでしょう。

ここでは、お子さんが不安定になる背景や周りのサポートする人たちができる対処法をご紹介していきます。

不安定なお子さんに見られる行動

進級の時期が近付くにつれて不安定になってくるお子さんを見て、ご自身も不安になったりどう接したらいいのかわからずに戸惑ったりする親御さんも多いことでしょう。


お子さんによって、見られる行動はまちまちですが、

  • 元気がない(疲れた表情がある)
  • 朝なかなか起きてこない
  • 登校までの準備に時間がかかる
  • 怒りっぽい(イライラしている)
  • 宿題に取り組むのを嫌がる

というような不安定な様子が見られることがあります。

不安定な行動の裏にあるもの

不安定な様子が見られる背景には、どんなものがあるのでしょうか。
想定される背景をいくつか考えてみました。

クラス替え

進級するときに多くの学校で行われるクラス替え。

クラス替えを前に、

  • 仲のいい人と離れるかもしれない。
  • 苦手な人と一緒になるかもしれない。
  • 新しい友達ができるだろうか。

といった不安を抱えているかもしれません。

仲のいい人と同じクラスになれたとしても、クラス全体の雰囲気は一気に変わってしまうことへの不安もあることでしょう。

担任の先生が変わる

クラス替えの有無に関係なく、毎年担任の先生が変わるところが多いです。

  • 新しい先生になじめるのかな…
  • 先生との相性はどうかな…
  • 先生は怖いのかな?どんな人なのかな…

先生との関係で1年間が大きく左右するので、どんな先生になるのかが気になってしまうお子さんもいると思います。
また、先生が変わることで、宿題などの提出物の場所やタイミングなどのルールや授業の進め方も変わってくることが多いです。今までとどれだけ変わるのか、今までのやり方が通用しなくなってしまうかもしれないという不安も考えられます。



教室が変わる

進級すると同時に新しい教室に変わりますが、その教室の場所や席がどこになるのかが気がかりだということもあります。教室の場所や組によってはトイレの前や階段の近くが自分の教室になる可能性もあるので、特に感覚過敏のお子さんにとっては教室の場所は気がかりな1つになることでしょう。

また、教室だけでなく下駄箱の場所の変化も気になってくるのかもしれません。

勉強が難しくなるかもしれない

学年が上がるにつれてもっと頑張らなくてはならないというプレッシャーや勉強がだんだんと難しくなってくるという不安を感じている可能性もあります。また、先生たちも進級が近付くにつれ、に学習面だけではなく生活面でも今まで以上に上を求めて、期待の声掛けをすることが増えていていることが考えられます。

去年と同じような不安を思い出して不安になる

発達に凸凹があるお子さんの場合、不安な気持ちがあっても上手に伝えることができず、自分でため込んでしまうことが多いです。そのような過去の経験を思い出し、新年度が近づくにつれて「また1からのスタートだ」「もし○○だったらどうしよう」などと、不安がよみがえって不安が高まってしまうケースもあります。

環境の変化が苦手

不安な原因をいくつか挙げてご紹介しましたが、小さなことから大きなことまで全ての変化が不安材料に繋がってきます。

発達に凸凹があるお子さんは環境の変化についていくことが苦手な傾向があります。特に人の変化に慣れることに時間がかかるようです。そのため、進級がストレスの1つになることがあります。

不安や恐怖を感じやすい

慣れないことに対する不安や恐怖を感じやすいようです。お子さんによって、想像できないことに対して不安を抱いたり、想像しすぎて不安になってしまったりとパターンは異なります。

感覚過敏

感覚過敏があるお子さんにとっては、環境が変わることで先生の声やクラスメイトの声、周囲から聞こえてくる音などの聞こえ方が変わってきます。教室の場所によって光や明るさが影響して見え方が異なってしまったり、臭いに敏感なお子さんの場合はトイレの近くや給食室の近くだと臭いによる苦痛を伴う場合もあります。

このように、様々な不安がある時は特に、自分の感じていることを誰かに伝えることが難しく、それがさらにストレスとなる場合も考えられます。

親ができる不安を和らげる対処法(家庭編)

お子さんの不安を少しでも和らげて、新学期に備えたいと思っている親御さんが家庭でできる方法をご紹介します。

心身の状態を確認

お子さんの様子を観察して、「どんなことが不安なのか聞く」か「様子を見て確認するのみにとどめる」かどうかを判断してみましょう。そっとしてほしい場合もありますし、話を聞いてほしい場合もあります。

子どもからのSOSに耳を傾ける

お子さんのつぶやきに対して、励ましのつもりで言った「気にしない!」などの声かけが逆効果の場合もあります。お子さんの話を遮らずに、どんなことに不安を抱えているのか耳を傾けてみましょう。その時、お子さんの気持ちを受け止めたり、「そう思うんだね」と共感したりすることで、親が子どもにとっての安全地帯(安全基地)となれたらいいですね。

学校以外のお友だちを作る

クラス替えがほとんどなくメンバーが大幅に変わることがない習い事などのメリットを生かして、習い事先でお友だちを作るのも1つの方法です。学校以外にもお友だちがいるということがお子さんの支えになり、学校生活の中での不安を軽減できる可能性もあります。

お友だちがなかなかできなくても大丈夫

1人で行動することが好きなお子さんにとっては、お友だちがいなくても平気なこともあります。
しかし学校でお友だちを必ず作らなくてはいけないと思って困っている場合もあります。学校だけでなく習い事でのお友達がいればそれでも大丈夫であることを伝えると安心することもあるでしょう。

逆にお友だちが欲しい、お友だちになりたい人がいるけれど、どうしたらいいのかわからない場合もあります。その時は、どうやってお友達を作っていくか方法を一緒に考えてあげると、お子さんも心強いかもしれません。また、親御さんの幼少期の経験をお話するのも喜ばれるのではないでしょうか。

今できていることに目を向けて声かけ

今できていることに目を向けて、お子さんに言葉としてしっかりと伝えることで不安が少し緩和されて「今のままで大丈夫だ」という安心感につながることもあります。親御さんからのプラスの声かけはお子さんの不安を緩和して、新しいことへの意欲に繋がります。
また、お子さんへの声かけが親御さん自身の不安や焦りの軽減にもなるでしょう。

休息を入れる/甘えさせる

日常のペースを落として無理をせずに休息を入れてみたり、宿題の量を減らしてもらったりして、気持ちに余裕ができるようにすることも1つの方法です。学校との相談が必要なケースもありますが、お子さんが心身ともに元気になるために大事なことだと割り切ってみるのもいいかもしれません。また、自分でできることでも手伝ってほしがったり、頻繁にくっつきたがるときはその甘えに応えてあげるのもいいですね。

相談や話せる場所の確保

お子さんを支えるために親御さんも頑張っていらっしゃいますね。
相談したり親御さん自身の気持ちを話せる場所の確保をしておくことをお勧めします。話したり相談したりすることで、新しい情報収集につながることもあるでしょう。

親ができる不安を和らげる対処法(学校編)

先生間の引継ぎをお願いする

進級1日目から適切な対応をしていただけるようにするためにも、進級前のクラス担任の先生に時間をとっていただき、1年間の感謝を伝えつつ進級後の新しい担任の先生への引継ぎをお願いしておくといいでしょう。お子さんの特性や特性に対する対処法をまとめていたものがあれば、それを新しい担任の先生にもお渡しいただけるようにお願いしたりするとスムーズです。

難しい場合はサポートブックを用意しておくと便利です。

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苦手なこと、得意なことを伝える

進級初日や進級して間もない早い時期に新しい先生にお時間をとっていただき、前の担任の先生からの引継ぎがされているかどうかを確認しながら、お子さんの苦手なことや得意なことなどの情報共有をしておくと、お子さんや新しい担任の先生にとっても心強いスタートとなるでしょう。

先生のいいところ探しをする

どんな先生なのか不安になりがちなお子さんが安心できるようにするために、先生のいいところ探しをしてお子さんに言葉にして伝えてみるのはどうでしょうか。

先生との連携を密にする

先生と親御さんの関係がいいと子どもにもいい影響が出ることがあります。お子さんと先生の橋渡しのような気持ちで、家庭でお子さんが先生について話してくれたことやお子さんが抱えている不安を定期的に先生と共有することで、先生もお子さんの気持ちをつかむことができ、過ごしやすい環境を整えてくれることにつながる可能性もあります。

前もって新しい場所の下見をする

新しい教室がどんな場所にあるのかが気になるお子さんも多いと思います。学校と相談して、進級前に新しい場所の下見をさせていただけるようにお願いしてみるのもいいかもしれません。

入学式の前日に、入学式が開かれる体育館や教室の下見をさせていただき、当日の流れや雰囲気を先取りさせていただけるようにお願いしたことで、スムーズに初日を迎えることができたケースがあります。


まとめ

  • 子どもの不安の背景を知る
  • 不安を受け止める・共感する。
  • 親御さん自身の安心安全地帯も確保し、情報収集する。

親御さんが安心安全地帯となり、お子さんの不安を受け止めて共感し、今できていることへ目を向けた声かけを行なうことで、お子さんはもちろん、親御さん自身の安心感にも繋がるといいですね。

お子さんが少しでも安定した状態で進級後も楽しく学校生活が送れることを願っています。

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