学校から出された宿題に自分から進んで取り組めるお子さんもいますが、宿題を嫌がったりなかなか取り組もうとしないお子さんもいます。
宿題に取り組ませようと、必死でお子さんへ声かけをしても遊び続けていたり、「宿題」というだけで泣き出してしまったり、怒り出してしまったりするケースが見られることがありませんか。
- 宿題を嫌がるのはどうして?
- すぐに取り組まないのはなぜ?
- どうやって宿題をやらせたらいいのかわからない。
- 宿題をやらなかったら、勉強についていけなくなるのでは?
親御さんも様々なことが気になって、心配になってしまうことでしょう。
ここでは、宿題を嫌がるお子さんの心理や理由、親御さんができるアプローチ方法をご紹介していきます。
- 1. 宿題を嫌がる子どもの心理
- 2. どんな理由があるのかを観察
- 3. 原因別のアプローチ
- 3.1. 間違えるのが嫌
- 3.2. 宿題の量が多い
- 3.2.1. ◎ひらがな・カタカナ・漢字練習
- 3.2.2. ◎計算問題
- 3.3. 書きにくい
- 3.4. 問題が読めない
- 3.5. 音読が大変
- 3.6. 1人で取り組むのが嫌
- 3.7. 学校の勉強が難しい
- 3.8. 宿題の準備の仕方がわからない
- 3.9. 宿題をやるということがつかめていない
- 3.9.1. ◎宿題の存在を忘れている
- 3.9.2. ◎「宿題」の意味がわからない
- 3.10. 宿題をいつやればいいのかわからない
- 4. 環境を変えてみる
- 5. 大切にしたい親御さんのサポート
- 5.1. できていることに注目する。
- 5.2. お子さんに寄り添う
- 5.3. 学校とお子さんの懸け橋になる
- 6. まとめ
宿題を嫌がる子どもの心理
宿題をすることを嫌がったり、すぐに取り組もうとしない我が子を見ると焦ったり、何とかやらせなければと躍起になったりと、どうしたらやる気を出してくれるのだろうかとお子さんの対応に悩みますね。
なぜ、お子さんは宿題を嫌がるのでしょうか。
宿題をやる意味がわからない、宿題よりも遊びたい、学校でも勉強をして、家でも勉強するのは嫌…などと、お子さんにも理由があると思います。
発達にでこぼこのあるお子さんの場合、いくつかの原因が隠されている可能性があります。
①間違えるのが嫌
②宿題の量が多い
③宿題のプリントが書きにくい
④問題が読めない
⑤音読が大変
⑥1人で取り組むのが嫌
⑦学校の勉強がわからない
⑧宿題の準備が疲れる
⑨宿題の存在と意味が結びついていない
⑩いつ宿題をやればいいのかわからない
どんな理由があるのかを観察
宿題を嫌がったり、やりたがらない理由をいくつか挙げましたが、お子さんにも、宿題が嫌な理由を聞いてみるといいでしょう。もしかしたら理由を教えてくれるかもしれません。
もし、教えてもらえなくても、お子さんがどんな宿題の時に嫌がっているのかを観察してみましょう。
例えば、漢字練習が嫌なのか、音読を嫌がるのか、宿題全てを嫌がるのかなどです。お子さんを観察して、嫌がるポイントが見つかれば、親御さんがサポートできる方法が見えてきます。
原因別のアプローチ
それぞれの原因に合ったアプローチ方法をご紹介いたします。原因がいくつか重複していることも考えられるので、1つずつアプローチ方法を試してみてもいいですね。
間違えるのが嫌
間違えることを極度に恐れている場合があります。過去に間違えたことで恥ずかしい思いをしたり、否定された記憶が頭に残っているのかもしれません。
「書けているよ!」「合っているよ」などと、できていることに注目して声かけを継続してみましょう。
あるいは、間違えたときに消しゴムで消すという作業に苦手意識を持っている可能性もあります。消す力が強すぎて紙が破れてしまったり、消しゴムが折れてしまったり、きれいに消せなかったりすることがストレスになっている場合もあります。
親御さんが代わりに消してあげたり、壊れにくい消しゴムや消し続けても角度がとがったままの消しゴムを用意する方法もお勧めです。
学校の先生との相談が必要になりますが、学年が上のお子さんのケースでは鉛筆ではなくペンで書いて消しゴムを使わなくて済むようにしたことで解決した例もあるようです。
宿題の量が多い
ひらがなやカタカナ、漢字の練習や計算問題などの宿題の量が多いことに原因があること場合も考えられます。
◎ひらがな・カタカナ・漢字練習
書くことに苦手意識を持っている場合、お手本を見て、自分が書くスペースに目線を移して、見た漢字をそのまま書くという漢字練習はとても大変な作業です。その作業の繰り返しが多ければ多いほど苦痛を伴います。
漢字の練習の量を減らしてもらうなどの対応を学校に相談してみるのも1つの方法です。もしくは、薄いペンで親御さんが漢字を書いて、それをなぞってもらい、最後の1つだけ自分で書いてみる方法もいいですね。
◎計算問題
紙にびっしり計算問題が詰まっていると、どこを見たらいいのかわからなくなったり、計算問題の多さに見通しが持てなくなっているかもしれません。また、九九が覚えられず、九九の問題に対して拒否反応がある場合もあります。
今やっている計算問題の部分だけが見えるように仕切りを作ったり、別の紙にスペースを多めに確保して計算問題を書いてあげたり、問題数を減らしてもらえるように学校と相談してみましょう。また、ノートに計算問題を写して取り組む宿題の場合は、式などの問題をノートに書いてあげて、お子さんには答えだけ書いてもらうスタイルはいかがでしょうか。
書きにくい
鉛筆を上手に使いこなせていないと、書くたびに紙に引っかかってしまうことにストレスを感じてしまっている可能性があります。また、字の大きさの調整ができないお子さんの場合、指定されたマスからはみ出てしまうことが気になっていることも考えられます。
紙の下に滑りやすい下敷きを用意したり、紙の材質との相性が関係している場合は、別の紙に書くことを提案してみるのはどうでしょうか。
文字がはみ出てしまう場合は、プリントの大きさをA4からA3に拡大してもらったり、マス目の大きいノートを利用してみるのもお勧めです。
問題が読めない
文章題の意味がつかめなかったり、文章題を読むことが難しくて取り組むのを嫌がっていることもあります。
その場合は、図に書いたりおはじきなどの物を使ったりして文章題の流れを説明したり、代わりに問題文を読んであげると、宿題に取り組めることもあります。
音読が大変
読みが苦手なお子さんの場合、文章を追っているうちにどこを追っていたのかわからなくなったり、単語の区切りがわからず1文字ずつ読んでいくため時間がかかってしまったり、漢字が読めずつっかえてしまったりと、お子さんによってケースはまちまちですが、音読が辛いと感じていることがあります。また、読むことに必死で、書かれている内容までつかむ余裕がないことも考えられます。
今読んでいる行だけが見えるようなカードを用意したり、文節ごとに斜線を入れて区切ったり、漢字にフリガナをふったりするサポートができるでしょう。また、聴覚優位のお子さんの場合は、代わりに読んであげることで内容がつかめて、その後の学習がしやすくなるかもしれませんね。
1人で取り組むのが嫌
1人で取り組むことに不安があるお子さんもいます。今、自分がやっていることは間違っていないか、困ったときにどうしたらいいかわからなくなるなどの様々な原因があると思います。自分だけが勉強しているという心細さもあるかもしれません。
隣で一緒に計算や漢字練習に付き合うだけで取り組めるようになる可能性もあります。困っている様子が見えたときにさりげなくサポートすることで、「できた!」という経験の積み重ねに繋がるでしょう。
学校の勉強が難しい
学校の勉強についていけず、宿題が難しくて取り組むのが嫌になっている場合もあります。
「わからない部分は教えるよ」と声かけをしたり、お子さんと一緒に取り組んでみたりすると、やる気が出てくることもあるでしょう。お子さんの様子や親御さんの負担が大きくなってきている場合は、宿題の内容や量を学校の先生と相談してみることも視野に入れてみることをお勧めします。
宿題の準備の仕方がわからない
宿題をするために何が必要か、どこから何を持ってくればいいのか、どこのページをやればいいのか、段取りがわからずパニックになってしまっていることもあります。
小学生だから自分でやれるようになってほしいという気持ちもありますが、机に必要なものを準備をして取り組みやすい状態を作ってあげるだけでスムーズに宿題に取りかかれることもあります。
宿題をやるということがつかめていない
実は、宿題に取り組むまでの過程には様々な段取りがあります。
1)学校から宿題の指示を聞いてくる。
2)宿題があることを記憶
3)宿題をやるために、必要なものを全部ランドセルや机から持ってくる。
4)宿題をやる場所を確保する
5)宿題をやる
宿題に取り組んだ後も
6)終わった宿題をランドセルに入れる
7)提出日に先生に忘れずに提出
といった細かい段取りがあるのです。
大人にとっては安易なことでも発達にでこぼこのあるお子さんにとっては、難しく感じることもあります。
◎宿題の存在を忘れている
単純に宿題の存在が思い出せず、取り組んでいないだけかもしれません。
その時は、「今日は宿題あるのかな?」と、宿題の存在を思い出すことができるような声かけをしてみるといいでしょう。
◎「宿題」の意味がわからない
「宿題あるの?」「宿題をやりましょう」と声をかけても反応が薄い場合があります。もしかしたら「宿題」が何のことなのか結びついていない可能性があります。宿題と一口で言っても、宿題の内容は日々変わります。
例えば、その日の宿題が漢字練習の場合は、「漢字練習をやりましょう」と声をかけると取り組める場合があります。宿題の内容を具体的に伝えることを意識してみるといいですね。
宿題をいつやればいいのかわからない
宿題をやるタイミングがわからず、取り組めないことも考えられます。
お子さんと相談して宿題をやる時間を決めてルーチン化させておくと、宿題に取り組みやすくなるでしょう。お子さんも時間になったら、ゲーム中でも宿題への取り組みに切り替えがしやすくなります。
また、お子さんと一緒に宿題をやる場合、親御さん自身のスケジュールも組みやすくなり、「宿題は?」という声かけが頻出することもなくなりますね。
環境を変えてみる
ここまで家での対応をご紹介してきましたが、「家では勉強はしないで、ゆっくり好きなことをしたい」という理由も考えられます。
宿題をやる環境を変えてみるのもお勧めです。
例えば、学童や放課後デイサービスなどの放課後の居場所だったら宿題に取り組めるお子さんも多いようです。
学童等では宿題に取り組む時間が盛り込まれているので、
・他のお子さんと一緒に宿題に取り組みやすい
・様々な学年のお子さんがいるので、「先輩として見本になろう!」という気持ちになる
といった理由があるようです。低学年だったら上級生から教えてもらえるというメリットもありますね。
学童等に通っていないお子さんの場合でも、祖父母の家や塾など外だったらできるかもしれません。
どこだったらできそうか、お子さんに聞いて宿題に取り組みやすい場所を見つけてみるのもいいでしょう。
大切にしたい親御さんのサポート
お子さんが嫌がらずに宿題に取り組めるようになるために、大切にしたいサポートをご紹介します。
できていることに注目する。
発達にでこぼこのあるお子さんは、苦手なことに取り組む時ほどエンジンがかかりにくい特性やネガティブなことへの記憶が強い特性があります。
できていないことを指摘されるとますますやる気を失ってしまうので、できていることに注目して褒めてエンジンがかかりやすいようにサポートしてみましょう。
また、取り組んでいるときも「1個できたね」「あともう1個まで来たね」などこまめに褒めていくと、お子さんも見通しが持てて最後まで頑張れそうですね。
お子さんに寄り添う
宿題への声かけの時や取り組めない理由を聞くときは、怒ったり叱ったりせずに、お子さんに寄り添っていくことで子どものやる気を引き出しやすくなるでしょう。お子さんの希望も聞きながら、お子さんに合った方法を見つけて行けるといいですね。
学校とお子さんの懸け橋になる
家庭でのお子さんの様子を見ながら、宿題の内容や量、やり方を学校の先生と共有したり相談することも大切にしたいところです。
お子さん自身が直接先生に気持ちを伝えられないことが負担になっていることもあるので、親御さんが学校とお子さんの懸け橋になる役を担って、宿題に取り組みやすい環境を整えてみましょう。
まとめ
・宿題を嫌がったり、取り組まない理由を観察する。
・宿題に取り組みやすくなる方法や場所をお子さんと一緒に考える。
・スモールステップでプラスの声かけをする。
お子さんに寄り添いながら観察をすることで、宿題を嫌がったり取り組まない理由が見えてきます。
どうしたら宿題がやりやすくなるかをお子さんと一緒に考え、見通しをもって前向きに宿題に取り組めるようになるといいですね。