入学・進級して1ヶ月。

新しい生活に少しずつ慣れてきたと思っていた頃、教室に入れなかったり登校を嫌がるようになったりするお子さんがいます。

「今まで教室に入れていたのになぜ?」
「今のタイミングで?」
と親御さんは心配になってきますね。

ここでは、行き渋りがあるお子さんの背景にある原因や親御さんにできる対処法の例をご紹介します。

教室に入れない背景

そろそろ学校生活に慣れてきた頃かなと思っていた時に直面する行き渋り。教室に入ることを拒むお子さんを見て、このまま教室に入れず不登校になったら…?と、どんどん不安になったり、どう対応したらいいのか悩みますね。

なぜ教室に入れないのでしょうか。
もしかしたら、教室に対する不安や学校生活の中での不安があるのかもしれません。

発達に凸凹のあるお子さんは環境の変化に苦手意識を持つことが多いですが、想定される背景をいくつか考えてみました。

①感覚過敏
②衝動性
③母子分離不安
④コミュニケーション
⑤教室の雰囲気
⑥学習面
⑦はっきりとした理由が見当たらない

教室に入れない理由

お子さんは、1ヶ月間必死で新しい環境についていこうと頑張っていたのかもしれません。頑張りすぎていたり無理をしていたりして、GW明けや長期休暇をきっかけに教室に入ることを拒むようになってしまったということが考えられます。

具体的にどのような理由で教室に入ることを拒んでしまうのか、その原因を考えてみましょう。


①感覚過敏

聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚・前提感覚などの感覚過敏によって、教室にいることが辛いと感じている可能性もあります。

〇聴覚過敏
先生の声やクラスメイトの声、ざわざわとした雑音、机や椅子を引く音、合唱や楽器の不協和音を辛く感じているかもしれません。逆に、一般的にはきれいに聞こえると思われる高いハーモニーが辛いという場合もあります。

〇視覚過敏
教室にある蛍光灯の明るさや窓から入る光をまぶしく感じている場合があります。また、プリントや教科書の白い紙が見にくいことも考えられます。

〇嗅覚
臭いに敏感なお子さんの場合、教室がトイレの近くや給食室の近くにあることが苦痛になっている場合もあります。そして、給食や牛乳の臭いに耐えられず、食べられないこともあります。

〇味覚
給食の食感や味が耐えられないことを好き嫌いと勘違いされてしまい、完食するように促されてしまうことが苦痛になっていることがあります。

〇触覚
体操服の肌触りや椅子の座るときの触覚に違和感を感じていることがあります。

〇前庭感覚
体育で、鉄棒やマット運動による回転刺激が恐怖や気分の悪さを感じる場合があります。

②衝動性

座っていなければいけないとわかっていても長時間座っていることに苦痛を感じているのかもしれません。また、忘れ物が多かったり、順番やルールが守れないことを先生に怒られたりクラスメイトに笑われてしまった経験の記憶が残ってしまっている可能性もあります。

③母子分離不安

発達に凸凹があるお子さんに限らず、親御さん、特にお母さんと離れてしまうことに不安を感じていることもあります。入学前までは親御さんと共に行動したり送迎があった環境から1人で登校するという環境の変化で、親御さんと引き離されてしまい、登校したくないという気持ちが生じていることもあります。

④コミュニケーション面

人の輪に入れず後れを取ってしまったと感じていたり、クラスメイトとどんな話をしたらいいのかわからないことが苦痛になっていることもあります。また、休み時間の過ごし方がわからなかったり、休み時間に孤独になってしまうことが耐えられなかったり、困ったときにどうすればいいのかわからないという不安を持っているかもしれません。

⑤教室の雰囲気

先生の声色や周囲の目で教室の雰囲気を感じてしまっていることもあります。また、少人数制の幼稚園や保育園で生活していたお子さんにとっては、クラスメイトがたくさんいることに戸惑っていたり苦手意識を持っている可能性も考えられます。

もしかしたら、自分ではなく誰かが先生に怒られていたり、聞こえてくるお友達との会話の内容を辛く感じていることもあります。

⑥学習面

授業中に感じていることが原因の場合もあります。

例えば、

  • 授業の内容が理解できず、授業中の時間を苦痛に感じている
  • 先生の指示がわからなくて何をしたらいいのか質問ができない。
  • 先生に当てられるのが怖かったり、答えられないことが恥ずかしい。
  • 周りとの差を感じる(後れを感じる)
  • 板書が時間内に終わらなかったり、読み書きに苦痛を感じている。

というものです。

⑦はっきりとした理由が見当たらない

実は意外と多いケースですが、決定的な原因が見つからない場合があります。お子さんが抱えている無自覚な要因が隠れている可能性が考えられます。

  • 苦手なことの積み重ねで学校に対するネガティブな意識が芽生えている。
  • 苦手なことへの取り組みのために、かなりのエネルギーを必要とすることで疲れている。
  • 日々の緊張の糸がぶっつり切れて、心身のエネルギーが切れてしまう。

「学校に行かなきゃ」と思うのものの、思うように身体が動かないことが出てきます。

子どもの気持ちは…

教室に入ることを拒んでいる原因が絞れたところで、親としては我が子が教室に入れるように対処したいところですが、その前に大切なことが1つあります。
それは、お子さん自身の気持ちを確認することです。

  • 教室に入りたいと思っているけれど入れない?
  • 教室に入りたくないと思っている?
  • わからない?


お子さんの気持ちによって、対処する方法は変わってくるでしょう。

子どもの意思別の対処法

お子さんの気持ちが確認できたところで、お子さんにあった対処方法を考えて対応していくことになりますが、お子さんの気持ちも日々変わります。お子さんの気持ちに寄り添い、様子を見ながら柔軟に対応してみるといいでしょう。

そして、お子さんがどうしたら教室に入れそうか、辛さを軽減することができそうか自分で言うことは難しいと思います。親御さんから学校の先生に相談をして、対応をお願いしてみるといいですね。

「教室に入りたいけれど、入れない」

  • 教室の環境を整えてみる
    ・まぶしくないところや臭いが少しは軽減される場所など、自分に合った席の場所を探してみる。
    ・給食が食べられない献立の日はお弁当の持参を許可していただく。
    ・動きたくなったら動いてもいい場所(教室の隅)やルート(トイレに行く、廊下の往復等)を決めておく。
    ・一番最初に教室に入れるようにしてもらい、自分がクラスメイトを迎え入れる側になる。
    ・一部の苦手な授業(音楽のリコーダーや合唱、体育の回転刺激のあるもの)の時は席を外したりイヤーマフでの対応をする。
  • 見学する
    見通しが持てずに不安になっている可能性もあるので、初めての体験の時は見学をして様子を見ながら参加していけるようにしたり、前もってシミュレーションをする時間を確保してもらったりするなどの対応をお願いする。
  • 少しずつできることを増やす
    ・取り組む問題の数を減らしてもらう。
    ・板書はコピーしてノートに貼る形にする。
    ・少しずつ教室にいられる時間を延ばしていく。

「教室に入るのは嫌・難しい・無理」

教室に入ることを辛く感じている場合、無理に教室に入れるようになることを考えるのは逆効果となってしまう場合があります。お子さんとどういう形ならできそうかを一緒に考えてみましょう。

例えば、「保健室登校だったらできそう」、「少ない人数ならできるかもしれない」、「一部の授業だけなら教室に行けるかもしれない」などと、様々なパターンを提示して、お子さんと一緒にできそうな方法を考えてみるのもいいでしょう。

「わからない」

「わからない」と言われると、親御さんもどうしたらいいのかわからず、戸惑ったり焦ったりするでしょう。しかし、その時はわからなくても日々気持ちは変わっていきます。

今は心を落ち着けてエネルギーを貯めることが必要な時期なのか、それともそっとお子さんの背中を押してあげることが大事なのか、その日のお子さんの様子を確認しながら対応を変えてみるのも1つの方法です。

家庭でできる子どもへの対応 6選

お子さんがどんな選択をとったとしても、家庭で親御さんができることをご紹介します。

共感する

お子さんの話してくれる言葉に共感をして、「そうなんだね」と気持ちを受け止めるだけでも、お子さんは「話を聞いてもらえた」と安心します。お子さんの目を見て、穏やかな表情や声で伝えると良いでしょう。

子どもができていることに注目する

教室に入れないことで自信がなくなっている可能性があります。こんな時こそ、親御さんがお子さんに今できていることに注目して、お子さんを認める声かけをしてみましょう。その声かけが、不安を緩和させて親御さんに「見守ってもらえている」という安心感につながることもあります。

また、お子さんへの声かけが親御さん自身の不安や焦りの軽減にも繋がるでしょう。

一緒に考える

自分でもどうしたらいいのか、自分の気持ちがわからず悩んでいることもあります。例えば、『教室に入らなきゃいけないのに入れない。でもどうしたらいいのかわからない。』と、できないことに罪悪感を感じているケースです。

お子さんの話に耳を傾けて、気持ちに寄り添いながら、ご本人が抱えていることについて一緒に考えてあげると、お子さんも自分の気持ちを整理することができるかもしれません。

休息や甘えさせる

発達に凸凹があるお子さんは緊張感が特に強いので、学校生活でもずっと緊張や不安が続き、疲れやストレスから心身の不調が表れていることもあります。お子さんペースに合わせながら、遅刻や早退、欠席などの休息を入れてあげることも視野に入れるといいかもしれません。

また、お子さんが受け入れてくれれば、抱っこやハグ、手をつなぐ、膝の上で本の読み聞かせをするなどのスキンシップを取り入れてみるのもお勧めです。

休息やスキンシップを取り入れることで、お子さんの気持ちが安定して、再び前向きな気持ちになることもあるでしょう。

睡眠や食事の見直し

お子さんの睡眠や食事をチェックしてみることも1つの方法です。心の不調はまず睡眠と食事に現れるからです。不安なことや気がかりなことがあることで、夜中に何度も目が覚めて睡眠の質が落ちていたり、食欲が落ちている可能性があります。

体を元気にすることで、気力がわいて前向きな気持ちやチャレンジしてみる気持ちが出てくるかもしれません。


学校との連携を図る

お子さんの代わりに親御さんが担任の先生にお子さんが抱えている不安や気持ちを伝えたり定期的にお子さんの状況を共有することで、先生もお子さんの気持ちをつかむことができ、過ごしやすい環境を整えてくれることにつながる可能性もあります。

また、先生と親御さんの関係が良好であればあるほど、お子さんの安心感につながることも考えられます。

まとめ

・教室にある不安(恐怖)の背景を知る。

・不安(恐怖)を受け止める・共感する。

・子どもがどうしたいと思っているのか、気持ちを把握する。

お子さんが抱えている「教室にある不安(恐怖)」を受け止めて共感することでお子さんも安心することでしょう。お子さん自身の気持ちに寄り添い、お子さんに合った対応方法を一緒に考えることで、安心できる場所で日々を送れるようになるといいですね。

無料メルマガ登録

【登録者数1,600名以上!】毎月1〜2回、講座やイベント、お役立ち記事の最新更新情報などをお知らせします。