上履きは必需品の1つですが、上履きにも色々な種類があります。
他のお子さんと比べて不器用な我が子にはどんな上履きがいいのか悩んでいる親御さんもいらっしゃることでしょう。
この記事では、様々な上履きの特徴や上履きにひと手間を加えて履きやすくする工夫をご紹介いたします。上履きを選ぶときのコツをつかみ、我が子に合った上履きを揃えて、入学後の生活がスムーズになるようにしたいですね。
上履きの様々なタイプ
上履きといえば、私たちが子どもの頃からバレーシューズが一般的でした。しかし、現在はバレーシューズの他にも様々な種類の上履きが用意されています。
バレーシューズタイプ
多くの人が使っている一般的なバレーシューズ。甲の部分をゴムのテープでホールドされています。
スーパーやホームセンターなどで、安価で気軽に購入でき、カラーやデザインも豊富です。
シューズタイプ
スリッポンのような、足全体をしっかりと包み込むタイプです。
テープタイプ
甲の部分にマジックテープがついています。テープで調節できるので、甲の高い子どもも外履き感覚で履き脱ぎができます。
子どもがつまづいてしまう理由
子どもが上履きを履く時に、いくつかの点でつまづくことがあります。
1)前のストラップを巻き込む
バレーシューズで甲の部分にストラップがある場合に見られることがあります。
特に甲高の子どもは履くときにストラップを巻き込んでしまい、上手に履けなくなってしまいます。
巻き込まないようにするためには、
- ストラップに手を添えながら履く。
- 両手を使って履く
- 座って履く
などの工夫が必要になってきます。
2)かかとが上手に入れられない。
足先は何とか上履きの中に入れられたものの最後のかかとが入らず面倒になって、かかとを踏んだまま履いている子どもを時々見かけることがあります。
指を使って、かかとをひょいっとあげればいいのですが、「後ろ手にかかとを押さえる」「かがむ」などの様々な動きが同時進行になるため、慣れるまでは難しいようです。
実は、上履きを使う幼稚園や保育園に入園した子どもが最初につまづくのが、「かかとが入らないこと」だそうです。小学校に入学してから初めて上履きを履く子どもは、つまづく可能性があると心づもりをしておいたほうがいいかもしれません。
3)テープが止められない
バレーシューズが苦手な子どもにとって、テープタイプは履きやすいものなのですが、テープそのものが上手に留められない場合があります。
また、テープを貼る時にずれてしまったり、脱ぐ時にテープをはがすのが面倒で、そのままむりやり脱ごうとしてしまったりする場合もあります。テープをはがしたり貼ったりする時は、指先にある程度の力も必要になってくるからです。
まだ外履きを自分で履けない子どもには難しい面もあります。
4)テープが気になる
発達凸凹の子どもによく見られる悩みですが、テープタイプがスムーズに履けたとしてもテープが気になって貼ったりはがしたりすることを何度も繰り返してしまいます。
べりべりとはがれる感覚が面白かったり、暇つぶしに触ってしまったりと、遊び道具となってしまう可能性もあります。
5)左右を間違える
特にバレーシューズタイプの場合、外履きよりも見た目だけでは左右の差がわかりにくく、左右を間違えて履いてしまう場合があります。
履きやすい上履きの特徴
お子さまの得意・不得意、足の特徴に合わせて最適なものを選べるように、タイプ別にお勧めの上履きをご紹介します。
バレーシューズタイプ
他の子どもと見た目の差がないこと、色やデザインが豊富、安価で購入できる『教育バレーDX』があります。
教育バレーDX
外反母趾、内反小趾対策というぐらい、足の指を締め付けないゆったりした構造になっているため、通常のバレーシューズよりやわらかく履きやすい構造になっています。
イフミー(IFME)上履き
子供向けシューズでおなじみの『イフミー(IFME)』は、甲高や幅広にも対応しており、かかとに紐がついているため、履き脱ぎのコツを説明しやすいメリットがあります。
サイズも14~24センチまであるので、高学年になっても使用できます。色は3色(ホワイト・ブルー・ピンク)あります。
『イフミー(IFME)』には、テープタイプの上履きもあり、ワンタッチで簡単にマジックテープを外して履くことができます。
スリッポンタイプ
テープタイプ
シューズタイプよりテープで調節ができるので、甲高の子どもやスリッポンタイプでもスムーズに履くのが難しい子どもにもお勧めです。
アキレス 校内履きEX2型
このタイプは、発達に凸凹のない子でも、わりとよく履いています。生地も色合いもバレーシューズと変わりないので、シューズタイプがいいけど、あまり目立ちたくない・・という子にもお薦めです。サイズは15cm〜30cmと大人用まであります。
教育パワーシューズ
『教育パワーシューズ』は、生地が柔らかく、テープを外してすっと足を入れて自分の足に合わせてテープで固定できるので、圧迫感なく履けます。
サイズは0.5ミリ単位で14センチ~29センチまであり、色も水色やピンクなどと豊富に揃っています。
既存のもので履きやすくするための工夫
既に通常の上履きがある場合には、上履きにひと手間かける方法もあります。
上履きののかかとにあるプル・ストラップに紐を通して輪っかをつくることで、輪っかになった紐を引っ張ることでかかと部分をひっぱりやすくなり、履いたり脱いだりしやすくなります。
今は100円ショップに売っているシューズタグをプル・ストラップに輪っかを入れるだけで完成するものもあります。シューズタグついているマークのおかげで、下駄箱で自分の靴の場所が見つかりやすくなるというメリットも出てくるでしょう。
左右を間違えずに履く工夫
何度言っても左右逆に履いてしまう子どもを時々見かけますが、小学校に入ると、指摘されることも多くなってくるようです。
1)マーカーで印を付ける
左右の内側にマークをつけて、上履きを履くときは「左右のマークを合わせる」ことを意識してもらいます。
2)上履きの中にイラストを描く
上履きの中に左右で1つの絵が完成するように配置したイラストを描きます。イラストを合わせて履けば左右逆になることを避けられます。他の子どもと同じがいい子どもにはさりげなく見えるイラストが合っているかもしれません。
自分で描けない・・という方もご安心ください!上履きの中に既にイラストが描かれたものが販売されています。
3)上履きのプル・ストラップに付ける輪っかやタグを左右別の色にする
左右どちらがどちらの色かを覚えておく必要がありますが、方法の1つとして使ってみるのもいいかもしれませんね。
4)ヒモを縫い付ける
外履きの場合になりますが、黒や紺などの色が濃い靴はマーカーが見えないため、目立つ糸を内側に縫い付けておくと見やすいでしょう。
上履きを履くときの環境
これまでは、子どもに合った上履き選びやひと手間を入れる工夫をご紹介しましたが、どんな上履きであっても、慣れるまではスムーズに履くことができないことも考えられます。
支援級在籍であれば支援級専用の下駄箱があるかもしれませんが、通常級で生活する子どもの場合、利用する子どもが多い分焦ってうまく履けないかもしれないということも想定できます。事前に先生とご相談するのも1つの方法だと思います。
1)人の少ない場所へ移動する
ペースがゆっくりで、他の子どものペースに合わせられないと、焦って余計に時間がかかってしまうこともあります。
上履きと外履きを変えたら、人の少ない場所に移動し、自分のペースで上履きを履ける場所を確保できるといいですね。
2)座って履ける場所へ移動する
多くの子どもは立ったまま、さっと履き替えることに慣れてくるのですが、座らないと履けないという子どももいます。しかし、下駄箱で座ってしまうと他の人が通れなくなってしまうこと、自分も怪我をしてしまう可能性も出てきます。
座って履いてもいい場所を確保できるといいですね。
3)登校の形態を確認する
学校によって、登校時間内なら学年問わずいつでも登校してもいいところ、学年ごとに昇降口や門から入る時間を分けているところ、居住地別に入る時間を分けているところなどと色々あります。
もし、学年ごとに入る時間を分けている場合、同じ下駄箱に大人数の子どもたちが殺到することになります。履き脱ぎに時間がかかる子どもや環境に負けてスムーズにできなくなってしまう子どもは苦しくなってしまいます。
我が子が登校する時間を早めにするか遅めにしてもらうなどの交渉を学校にしてみるのも1つの手段です。
【事例】上履きを変えた後の変化
最初はバレーシューズの上履きを使っていたものの、入学後に子どもの様子を先生から伺い、上履きを変えた事例(Aくん)をご紹介します。
上履きを変える前
上履きを使わない園だったので、入学前に「上履きが履けない」というのは、全く想定していませんでした。
そのため、スーパーで売っている代表的な白いバレーシューズ上履きを用意しました。
入学後すぐに支援学級の先生から「朝、下駄箱で上履きを履くの時間がかかっています。支援学級の子どもたちは、シューズタイプやテープで止めるタイプの上履きを履いている子が多いです。」と教えてもらいました。
上履き選び
Aくんは、3つの点でつまづいていました。
- 甲が高い(足が丸っこい)
- かがんで履くのが苦手
- かかとに指を入れて履くのが苦手
バレーシューズタイプは甲のテープがヘロヘロのため、すっと足を入れられずテープを巻き込んでしまいました。
スリッポンタイプは、Aくんの甲が高いので甲に合わせると、かなり大きなサイズの靴になってしまいます。
外履きはテープで止めるものを履いており、自分で履き脱ぎができていました。
そこで、Aくんにはテープタイプの上履きを使ってみることにしました。
上履きを変えた後
朝の玄関でのイライラがなくなりました。スッと履いて、スッと教室に入っていけるので、大切な1日のスタートがスムーズにいきます。
実は、登校・中休み・昼休み・体育・下校・・・と、1日に何度も上履きの履き脱ぎがあります。入学後はそれ以外にもたくさんの大変なことがありましたが、上履きを自分に合ったものに変えたことで、その「大変さ」が一つ減りました。
小さなことかもしれないですが、本当に変えてよかったと思っています。
《まとめ》
上履きの種類や特徴、既存の上履きにひと手間をかけて使いやすくするコツをご紹介してきました。
上履き選びの時に下記のポイントを押さえて、探してみるといいですね。
・子どもの特性や足の特徴(甲高・幅広)を確認する。
・履きやすくするために上履きや上履きの履き脱ぎをする時の環境にひと手間をかける。
・どうしたらできるようになるのか?を一緒に考える。
大人からしたら大したことのないことでも子どもにとってはとても大変なこともあります。手先の不器用さや感覚の違いで、子どもにしかわからない「できない」があります。
子どもの力を伸ばすためには、頑張ってできるようにさせるのではなく、どうしたらできるようになるのか、小さな「できた!」経験を積めるかどうかです。
子どもの様子を観察しながら子どもと一緒に工夫を重ねながら、スムーズに学校生活が送れるようになることを願っています。