メッセージ

こんにちは!

おうち療育アドバイザーの浜田悦子です。発達凸凹アカデミーでは「効果的な支援策」のメイン講師をしています。

この体験講座では、癇癪を無くす方法をお伝えしていきます。

結果の出方は個人差がありますので、1回で無くなるお子さんも、1ヶ月以上かかってしまうお子さんもいます。

ですが、これらを実践していれば、必ず子どもが変わります。

ぜひ、実践してみてくださいね!

事前対処と事後対処

癇癪と一言で言っても、表出は 子どもによって様々です。

手がつけられないくらい激しく抵抗していること と、イメージしてください。

癇癪が起きてしまった時(事後)、表出がどんなカタチ(激しく泣いても、寝転がっても、暴言も吐いても)であっても、対応はすべて一緒です。

事後の対処法は、無反応です。(事後対処については後ほど説明します)

ですが、これはあくまで事後の対処になります。

癇癪(パニックや他害など、問題行動と呼ばれているもの)は、繰り返すたびに練習されている。と、言われています。

玉ねぎのみじん切りも、毎日やっていれば早くなったり、細かく切れるようになりますよね。

苦手なことも、コツを掴んだり練習すれば、能力やパターンとして身につくようになります。(発達凸凹は例外あり)

これと同じように、毎日癇癪を起こしている子どもがいたら、日々癇癪を練習し、強化しているということになります。

強化されるということは、頻度が上がったり、泣きがもっと激しくなったり、暴言や暴力が激しく出て来たりするということです。

これは、強化されるばかりでなく、二次障害になる可能性が高くなるということです。

よって、これらを強化しないために、事前に対処することが必要なのです。

癇癪を無くすために一番大切なこと

癇癪が起こるたびに、強化されるとしたら、事前対処で大事なことはなんでしょう?

それは、単純に 癇癪を起こらないようにすること、です。

そのために、一番大切なことは、子どもの観察です。

癇癪には、必ずきっかけがあります。

ほしいおもちゃを買ってもらえない 悲しさや

一位になりたかったのに、なれなかった 悔しさ

うまくつみきを積み上げたかったのに、
途中で崩れてしまった 悔しさ・・・

この感情に折り合いをつけることができず、うまく表現できないから 癇癪になってしまうのです。

さらには、癇癪になってしまった時、途中で制止や声がけの刺激が入ることで、子どもが存分に感情を味わうことができなくなってしまいます。

感情は、味わうことで癒されていくと言われています。

長引く癇癪は、大人が長引かせている原因を作っている可能性があると、覚えておいてください。

大人にとっては、問題行動と捉えがちな癇癪も、子どもにとっては大切なものなのです。

癇癪は、感情を知り 理解し、味わうチャンスなのです。

癇癪は、子どもが向き合うべき課題ですが、二次障害につながらないサポートをするためには、大人であるわたしたちの手助けが必要です。

話を戻しますが、癇癪を無くすために一番大切なことは、子どもの観察と書きました。

子どもの観察に必要な項目は、以下です。

・いつ(癇癪が起こった時)
例)〇時ころ、朝食中、お風呂の前

・どこで
例)自宅の寝室、リビング、幼稚園、保育園からの帰り道

・癇癪が起こった直前に何をしていたか
例)ブロックで遊んでいた、宿題をしていた

・癇癪の時間と様子
例)20分間 泣き続けていた、10分泣いた後 わたしの顔を叩きにきた

・その時の対処法
例)怒った、放っておいた

・気付いたこと
例)イラっとして怒ってしまった

表にすると、このような感じです。

上記は見やすいように表にしてみましたが、表にしなくても大丈夫です。

自分が書きやすいように、ノートでもフセンでも、冷蔵庫に紙を貼るでもOK。

起こったことを、書き込んでください。

1週間やれば、1週間分の統計がでるはずです。

統計がでてくると、パターンが見えてきます。

めんどうだなぁと思う方も、いらっしゃるかもしれません。

でも、メモをするために観察しなきゃ!と思うと、目的ができるので、子どもの癇癪へのイライラがいつもより減ったという方も、大勢いらっしゃいます。

これが、癇癪が起こる前にやるべき「事前対処」です。

この事前対処をしっかりと行い、癇癪が起こらないようにするのが理想ですが、それでも最初は起きてしまうものですし、今みなさんが困っているのは「癇癪が起きている時にどうすればいいか?」ですよね。

このあと、起きてしまった時の対処法「事後対処」について説明していきます。

泣く子供

事後対処 無反応とは

前述したとおり、事後対処は「無反応」です。

無反応とは、子どもに刺激を与えないということです。

刺激を説明すると、主に五感で感じられるすべてのこと(もの)です。

  • 目(視覚)で感じる、カタチや色
  • 耳(聴覚)で感じる、音
  • 口(味覚)で感じる、味
  • 鼻(嗅覚・臭覚)で感じる、匂い
  • 肌(触覚)で感じる、痛さ、心地よさ

ざっくりですが、こんな感じです。

また、視覚(目)の刺激には『人の視線』が入ります。

空気中の気泡がみえてしまうほどだったり、周波数のようなものにとても敏感なお子さんもいます。

(余談ですが、わたしは 何かを充電している音が苦手です)

よって、癇癪を起こした子どもを見たり、にらんだり、怒ったり・・・は逆効果になるのです。

癇癪が起こった子どもが目の前にいても、見て見ぬふりをすると、イメージしてください。

 無反応の実践方法と注意点

無反応には、注意点が 二つあります。

1,必ず子どもの安全を確保すること

癇癪がきっかけで、命に係わる 危険な行動が出た時に制止するためです

また、環境設定として、高いところに上らないようにしておく、落ちても大きなけがをしないようにしておくことも大切です

2,共感を忘れない

これを忘れてしまうと、ただの無視になります。

これ(無視)が続くと、二次障害につながる可能性が高くります。

無反応を、もう少し詳しく説明しましょう。

共感のタイミング

例)子どもが癇癪を起こした、リビングで泣き喚いている

そんな時は、

  • 子どもを見ない、声もかけない(背中で子どもを見る感じです)
  • この時、安全が確保されていれば、少し席を外しても大丈夫です。

ですが、

人が動くのも刺激になるので、お子さんの様子で調整してください。

子どもが泣き続けている、暴言を言っている
↓↓
見ない、反応しない
↓↓
子どもが落ち着いてくる
泣きがおさまってくる
こっちに寄ってくる

ここが、共感のタイミングです。

子どもが癇癪を起こすきっかけになった出来事を思い出し、気持ちを代弁しましょう。

抱きしめて、声をかけてもいいですね。

共感のことば

例)悲しかった、悔しかった、怖かった、苦しかった・・・など感情の言葉

『もっと〇〇したかったね』という代弁も、共感になります。

共感の言葉について、補足があります。

共感とは、子どもの感情に寄り添う言葉です。

事例1)勝ち負けにこだわるお子さんに対して・・・
『負けても次は勝てるよ! 大したことないよ!』

事例2)(計算など)間違うことに耐性が弱いお子さんに対して・・・
『消しゴムで消せば大丈夫だよ!』

これらは、”励まし”であって共感ではありませんので、ご注意ください。

共感も、簡単なようでコツが必要です。

一週間とった統計をみて、お子さんへかける 共感の言葉を、前もっていくつか決めておくということも、オススメです。

それから、

頑張っている自分にも共感のことばをかけてあげてくださいね^^

「今日も頑張ったね」

「ついイライラしちゃったね」

これを忘れてしまうと、続きません。

もうすでに頑張っているし、イライラしてもいいんです。

また、自分に共感できないと、子どもにも共感できないのです。

ここまでのポイント

  • 子どもの癇癪に、無反応で対応する(必要であれば、共感の言葉の候補を考える)
  • 引き続き、統計をとる(自動的に対処が無反応になりますね)

かんしゃくを起こさないために

”無反応”

なかなか難しいと思われたのではないでしょうか?

わたしがむすこに無反応という対処法を実践したのは、4歳の頃だったと思います。

たった4歳でも、癇癪の時のチカラ パワーは、大人のわたしでも敵うものではありませんでした。

その時に、恐怖を感じたんですね。

【 このままだったら、将来 大変なことになる 】と。

スイッチが入った瞬間でした。

無反応は、大人が試されます。

子どもに必要な対処法だと、アタマではわかっていても、つい声をかけてしまったり、怒ってしまう。

そんな時に、向き合うべきは自分です。

  • どうして、声をかけずにはいられないのか?
  • どうして、怒らずにはいられないのか?

くじけそうになった方は、ご自身と向き合うことをオススメします。

それから、わたしも最初から完璧にできたわけではありません。

無反応ができる時、
共感を忘れてしまう時、
怒ってしまう時・・・

それぞれの道を通って、今に至ります。

むすこは今、癇癪を起こしません。

5歳の頃には完全になくなっていたのでは、と思います。

5歳でも、自分の気持ちに折り合いをつけることができるようになるのです。

でも逆に、中学生になっても 癇癪が収まらない方もいらっしゃいます。

子どもも大人も、本当に大変です。

今、くじけそうになっている方は、【 あの時 無反応をしていてよかった!】と思える日がきっと来ますよ。

事前対処とは

続いては、事前対処についてです。

字のごとく、事前に対処するということです。

統計をみてください。

癇癪のきっかけになった出来事があるはずです。

塗りつぶしの部分ですね。

例えば、この場合(3/1) 【ご飯で遊んでいたから、取り上げた】という事実があります。

このきっかけがどうして起こったのか?

というところを考え、きっかけを排除していくのが、事前対処です。

この場合、以下のようなことが考えられます。

  • お腹がいっぱい
  • お腹がすいていない
  • 食卓の刺激が多い(食事に集中できない)
  • ご飯の時は遊んではいけないと認識していない
  • テーブルと椅子がカラダにあっていなくて、落ち着かない、
  • 素材が苦手

などなど・・・

刺激や環境という視点で考えると、さまざまな理由が隠れています。

上の図 3/2の例で考えてますと、”大好きなテレビだったから”という理由がもちろんあると思いますが、

  • 見通し(予告)がなかった、又は 本人が理解できるものではなかった
  • お風呂が嫌い・苦手(触覚過敏の場合、シャワーが苦手だったり、お風呂のお湯の温度に敏感なことがあります)
  • こだわりだった

などという理由が隠れていることがあるのです。

これらは、同じ状況でも お子さんによって 理由が変わります。

よって、ご自身のお子さんにピッタリ合う事前対処を見つけるには、やはり観察しかありません。

発達凸凹のお子さんは、うまく言葉で説明できないお子さんもいます。

また、言葉が達者でも、本当の理由を話せているか?ということには、慎重にならなければいけません。

  • ご飯の時間を変えてみる
  • ご飯の量を変えてみる
  • 食卓の刺激を減らしてみる
  • 椅子にクッションを入れてみる
  • 視覚的に提示してみる
  • シャワーをお風呂に変えてみる
  • お湯の温度を低くしてみる
  • 好きなテレビが終わってから、促してみる
  • 先にお風呂に入れる

癇癪の地雷をたくさん持っているお子さんは、全部に取り組むと大変なので、何かひとつ決めて対応することもオススメです。

それから、子どもの癇癪に向き合うご自身への共感もお忘れなく^^

自分の目標の対応できなかったとしても、共感はできます。

  • 今日も頑張ってるよ。
  • 今日もイライラしちゃったよね。

必ず、声をかけてくださいね!

事前対処は一番大切で重要な対処法ですが、

実際やってみると、
難しいと感じる方が、ほとんどだと思います。

ですが、

お子さんのコツやパターンがわかるようになれば、パズルがピタッとはまるように、対処法が見えてくる瞬間があります。

最後に、発達凸凹アカデミーの「効果的な支援策」で、癇癪の対処法を学んで変化があった!という皆さんの事例をご紹介しますね。是非参考にしてみてくださいね。

みなさまの事例

年長さん男の子「自分で謝ることができました」

自分で作ったブロックが壊れたり、思う通りに組み立てられない、などの時に物にあたったり「もうぶっこわす」「クソジジイ」など言う

今までは、
「そんな悪い言葉言ってると鬼が来るよ!」
「そんな乱暴に扱うならいらないんだね!」

と言って、捨てる真似をしたりとほとんど脅していました。よけいに暴れたりまったく効果がないとわかっているのに自分のイライラがおさまらずにそうしていました。

先日、ブロックでとてもお気に入りのものが出来、それを棚に飾ろうとした時に落として壊れてしまいました。

少しブロックが落ちただけなので直せたのに、おこって全部壊してしまいました。おねえちゃんが「うわーどうたの?」と声をかけると「バカヤロー!クソジジイ!」と当たり散らしました。

「コラー!」と言うのをグッとこらえて「こわれちゃって悲しかったね」と声をかけると悲しそうにうなずいて黙っていました。

しばらくして落ち着いていた様子だったので夕飯の支度の続きをしているとわたしのところへ来て「姉ちゃんにごめんなさいしてきたの。ぎゅうしよう。」と言ってきたのでギューーッとしたら、泣き出したので「泣きたかったよね」と言って終わりました。

壊れて悲しかった気持ちに共感しただけで、自分で考えておねえちゃんに謝ることができました。

そのあとは何事もなかったように陽気な息子に戻って、また新たにブロックで作っていました。

たった一言共感の言葉をかけただけで、息子は落ちつくことができるんだ、これからはもっと息子を信用していいんだ!と新たに気付くことができました。

と言いつつも「コラー!」の日もまだあると思いますが、わたし自身も成長できた気がします。

これからも親子で笑って暮らせるように色々ためしていこうと思います。
ありがとうございました。

積み木

中学2年生 男の子 3か月で癇癪が無くなりました

感情のコントロールができない、癇癪(暴言・物をたたく、蹴る)、興味がないことへの取り組み(登校しぶり含む)

◎事前対処(問題行動が起こる前にできること・やったこと)

  • 観察(困る子は困っている子を意識して、刺激・過敏・見通し・無理解・誤対応を考える)
  • 叩いても良いクッションを用意する
  • 話を聞くことを続ける

◎事後対処(問題行動が起こった後の対処法)

  • 無反応を続ける
  • 落ち着いている時に私のスタンスを伝える
  • 落ち着いた時は共感を忘れない

まず今までの私は、話を聞きすぎていた事に気が付きました。

普段から良く話は聞いていたのですが、何とかしてあげたい気持ちから、癇癪を起こしている時も話を聞いて共感してアドバイスしていました。

講習を受けて実践した今、息子に謝りたい気持ちでいっぱいです。

もっと早く知っていたら、息子はもっと早く楽になれていたかもしれないと考えました。

子ども向けアンガーマネジメントにも、本を買ったりして取り組んでみたことがあります。

息子の反応は嫌そうだし、特に効果も感じられず続きませんでした。

無反応を実践しているうちに、息子が私の様子を気にするようになりました。

あれ?何でお母さんは何も言わないんだろう?

今までと違うぞ?と考え始めたようで、

それを考えている間に落ち着いていました。

その次くらいには、私の表情など確認したりして、

あれ?また何も言わない。

俺は今良くないことを言ってしまっているのかもしれない。

と気づき始めたようでした。

メモをとることは、

無反応をするためにも、観察するためにも、

私自身が落ち着くためにも、とても有効でした。

発達凸凹アカデミーの体験講座を先に受け始めていたので、今3か月くらいになりますが、癇癪はほぼ無くなっています。

中1の1学期〜2学期くらいは、中学校生活が始まったこともあり、ピリピリしていて話しかけるなオーラも出ていた感じでしたが、

表情もやわらかくなりました。

距離感も近くなりました。

私のことを信頼してくれている、受け入れてくれているのが分かります。

嫌なことへの取り組みですが、学校・学校の行事・部活など山ほどあり、登校しぶりもあって、遅刻が続いたり朝練にはほとんど参加できませんでした。

今は、

部活が嫌だとか宿泊の自然教室が嫌だとか言いますが、怒ったテンションで言うことはほとんどありません。

効果的な支援策を学ばなかったら今頃まだ…と考えると、

ちょっと怖いくらいです。

でも、

色々考えて、調べて、試してみていた時期も、それがなかなか上手くいかなかったとしても、息子のことを想っていたことは確かなので。

そこは私自身を認めてあげようと思います。

そういう事にも気付くことができました。

最後に

癇癪に関する内容は以上です。

人は、3か月で変わると言われています。

わたしはたくさんの子どもたちにあって、
また 我が子に向き合って、

それを実感しています。

だけどね、

大切なことはもう一つあります。

それは、『自分への共感』と『息抜き』です。

  • 浜田さんは、支援者だったからできるのでしょう。
  • どうして、モチベーションを保てるのですか?

このようなことを、よく聞かれます。

その答えは、

上に書いた二つを大事にしてきたからです。

支援者でも、自分の子どもには なかなか向き合えません。

自分の子どもだから、向き合うことが難しいということを知りました。

モチベーションの前に、母としてのプライドがズタズタでした。

わたしは子育てには向いていない・・・と、自己嫌悪でした。

頑張っても頑張っても報われないと感じる時、

それは 、

子どもより、自分に目を向けなさいというサインなのです。

以上、最後までお読みくださりありがとうございました!

私が開発した1日3時間の講座「効果的な支援策」では、このような癇癪の対処法だけではなく、

  • お友達をたたいてしまう
  • わがままばかり言う
  • 学校や園に行きたがらない
  • 落ち着きがない

などなど、子どもの日常的な困った行動の原因と対処法もわかります。

親も子どもも、すっごく楽になるので子どももグーンと成長しますよ。

全国各地でインストラクターが開催しています。

オンラインでご自宅からも受講できますので、まずはスケジュールを確認してみてくださいね。