学習障害とは?〜6つの能力ごとの障害と年齢別の特徴〜
この記事は、
学習障害とは?
年齢別にどんな特性があるのか?
学校や家庭でどのような支援ができるのか?
やってはいけないことは?
周囲へどのように理解してもらうか?
について、まとめた記事です。
記事を書いたのは、長女さん(平成19年生まれ)は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)、次女さん(平成20年生まれ)は学習障害(LD)と診断されているお子さまたちを子育て中の、たなかまひろさん。
「もしかしてうちの子は学習障害かも?」とお悩み中のママたちに、支援策なども含めて参考にしてもらえると嬉しいです。
※この記事内の特徴がみられたからといって必ずしも学習障害とは限りません。自己判断せずに、必ず医師の診断を受けてください。
学習障害(LD)とは?
学習障害とは、
基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という6つの能力のうち、特定のものの習得と使用に、著しい困難を示す様々な状態を示すものです。
その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接的な原因となるものではありません。
それは知的な発達全体の遅れからではなく、認知発達の部分的な遅れや偏りから起こります。
ここでいう”認知”とは、子どもが見たり、聞いたり、さわったり、運動をしたりするとき感じるさまざまな刺激を、脳の中に取りこむ高次な知的働きを指します。推理や思考等も認知過程の一部です。
特定の分野においての偏りであるため、学校などでは「怠惰」や「努力不足」と取られてしまい、誤解を生じてしまうことも少なくありません。
親も含め、周囲から障害と気づかれずに過ごしてしまっているケースもあります。(またADHDや自閉症スペクトラムなどその他の障害と合併していることもあります)
LDとは、Leaning Disabilitiesの略とされる事が多いが、アメリカでは「ディスアビリティーズ=障害」という表現でなく、Learning Differences「ディファレンスズ=学び方が違う」と説明をするそうです。
親として、また「わが子が障害?!」となかなか受け入れられない場合は「障害」より「学び方が違う」と言われる方が受け入れやすいかも知れませんね。
学習障害の特徴
一言で学習障害といっても、様々な特性があります。
ここでは、6つの能力別にご紹介します。
「聞く」ことの障害
- 会話が理解できない
- 文章の聞き取りができない
- 書き取りが苦手
- 単語の聞き誤りが多い
- 長い話を聞く事が苦手。長い話に集中できない
- 話された言葉の復唱ができない。音節に順番を間違える
「話す」ことの障害
- 道筋を立てて話すことできない
- まとまった文章で話すことができない
- 余分なことが混じった文章を話す
- 同じ内容を違う言い回しで話せない
- 回りくどい言い方になる、あるいは話している途中で黙ってしまう
- 長い文章で話すのが苦手
「読む」ことの障害
読字障害(ディスレクシア)
- 文字を発音できない。あるいは、間違った発音をする
- 単語を発音できない。あるいは間違った発音をする
- 文字や単語を抜かして読む。読むのが遅い
- 文章の音読はできるが、意味を理解していない
「書く」ことの障害
書字表出障害(ディスグラフィア)
- 文字(ひらがな、カタカナ、漢字)が書けない。あるいは、誤った文字を書く
- 単語が書けない。あるいは、誤った文字が混じる
- アンバランスな文字、乱雑な文字になる
- 単純な文章しか書けない
- 文法的な誤りの多い文章を書く
「計算」することの障害
算数障害(ディスカリキュア)
- 数の概念を身につけることが難しい
- 数字の位が理解できない
- 足し算や引き算等、計算することが困難
- 繰り上がり繰り下がりが理解できない
- 九九を暗記しても計算に使えない
- 暗算ができない
「推論」することの障害
- 算数の応用問題、証明問題、図形問題が苦手
- 因果関係の理解、説明が苦手
- 長い文章(長文読解)が苦手
- そこに直接指示されていないことを推測するのが苦手
年齢別の特徴
*年齢別に分けてはいるが、成長の段階で重なる部分もある。
幼児期の特徴
- 知的な遅れはないのに、どことなく気になる
- 落ち着きがない、ぼんやりしている事が多い、すぐ迷子になる
- 言葉を覚えるのが遅い
- 発音の誤りが多い、聞き誤りが多い
- 話し方がしどろもどろ、要領を得ない
- 友だちがいない、できない
- 遊びの輪に入れない
- じゃんけんができない
- ルールのあるゲームができない
- 順番が守れない
- すぐけんかをする
- 負けることが許せない
- 会話が苦手
- 行事がきらい
- 絵を描くのが苦手
- 運動が苦手
- 危険が予知できない
- 「したい」「欲しい」の気持ちが抑えられない
- なんでもすぐ忘れる
- 周りの刺激が気になり、人の話を聞いていない
就学後〜成人になっても見られる特性
- 一斉授業が聞き取れない
- やる気はあるのに授業についていけない
- 知識が増えていかない
- 宿題ができない
- 忘れ物が多い、物をよくなくす
- 苦手なことに取り組まない
- 何をするにも時間がかかる、時間内にしあがらない
- 行事がきらい
- 班活動に参加できない
- 計算ができない
- コンパス、定規が使えない
- 図形問題が解けない
- 文字がきたない
- 字が書けない
- 小さい「っ」や、のばす「う」「い」「ー」「ん」が抜ける、入れる場所を間違える
- 小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」が抜ける、間違える
- 助詞を正しく使えない
- 文の読み方がたどたどしい、勝手に作って読んでしまう
- 文末を読み誤る、行を飛ばして読む
- 作文が書けない、作文は嫌い
- 聞いたことをすぐ忘れてしまう
- 相手の話を聞き取るのが苦手
- 言葉を思い出すのに時間がかかる
- 数字や記号の意味がわからない
- 数字の桁がわからない
- 絵を描くのが苦手
- 楽器の演奏が苦手
- 運動が苦手
- 電話の対応が苦手
- 臨機応変に対応できない
- 危険が予知できない
- 生活のリズムが乱れやすい
※上記の特徴がみられたからといって必ずしも学習障害とは限りません。自己判断せずに、必ず医師の診断を受けてください。
学校でしてくれる支援
家庭との連携(教育相談室、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援コーディネーターなどとの連携も)
- 席を一番前にしてもらう
- 指示を分かりやすくする(視覚支援も取り入れてもらう)
- 注意を促す
- 質問は子どもの特性に合わせる
- 子どもの特性に合わせて課題を工夫する
- 子どもに合わせて1:1で宿題を見る
- 宿題を少なくする(子どもの特性に合わせて出す)
- スモールステップの教材にする
- 個別指導のためのコンピュータ、デジタル教材の使用
- クールダウンするための小部屋等の確保
学校でしてくれる支援に関しては、必ずしもどこの学校でも支援が必ず受けられるというものではない。
2016年4月に施行された「障害者差別解消法 」によって、合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになったが、学校内でタブレットを使うなどは、まだまだハードルが高い状況。
受け入れ側(学校)の現状とは
- 知識や理解のある先生から提案してもらえる
- 親が何度も伝えることで支援してもらえる(逆に言えば言わないとしてもらえない)
- 地域差によって先生方の理解がない学校がある
- 担任が理解があっても、学校内(管理職)の理解がない場合がある
- 人手不足で支援したくてもできない場合がある
自宅でできる支援
学校の現状を知ると、すべて学校まかせにできない部分もあります。家庭でできる支援策をご紹介します。
- 話をよく聴く、特性をよく観る(日々の些細な事もメモしておくと自分の理解だけでなく、他者に伝えるときのわかりやすい情報になる)
- すぐほめる
- 言葉や態度で具体的にはっきりほめる
- ほめるときと、叱るときはしっかり差をつける
- ごほうびをあげる(強化子)
- できることを大きく伸ばす
- できないことには目をつぶる
- 小さな成果を見逃さない
- 好きなことは好きにやらせる(わがままにという事ではない)
- 任せる時は口を出さない
- 基本的なルール・マナーを教える
- 規則正しい生活を心がける
- 何度も繰り返し教える
- ゆっくりわかりやすく伝える
- 視覚支援
- 相談できる人、場所を多く持つ(1人で抱え込まず、色々な方に話を聞いてもらう、相談する、アドバイスを受ける事は支援の幅が広がる)
自信が持てる=自己肯定感が高まる
やってはいけないこと
育て方(しつけなど)によって学習障害になることはないので、自分や家族を責めたり、原因を探す必要はありません。
- 特性を理解しないで子どもの努力不足の原因を求めてしまう
- 他の子と比べる
- 理解はしていても努力次第で他の子と同じようにできると思ってしまう
- むやみに叱る
- あきらめる、何も言わない(放任主義)
きょうだいがいる場合
- きょうだい同士を競争させない
- 一方にかかりきりにならない
- 年齢でくらべない
- きょうだいの役割をきめつけない
言ってはいけないこと
「他の子はできてるでしょ」
「きちんとしなさい」
「やる気がないの?」
「もっとがんばらなきゃ」
「そのうちできるようになるよ」
周囲への理解
診断名(または見た目)で判断せず、ひとりひとりの特性に向き合い、つまずきの原因を考え、困り感を伝える。
つまずき・困り感を解決していく方法を探っていくこと、その対応・支援が大切という事を伝えていく。
最後に
我が子が学習障害と診断された時(そうかも知れないグレーゾーンな時)に、また他の発達凸凹に関してもそうですが、書かれている全てのことが当てはまるとは限りません。
そしてここに記す事も、参考に過ぎません。
同じ〈学習障害〉と診断されたとしても、100人いれば100通りです。
目の前にいるお子さん(または、関わっているお子さん)が、どの様なつまずき・困り感があるのかをしっかり見極めていくこと、そのつまずき・困り感に対しての対応・支援をしていくことが大事ではないかと思います。
その対応・支援に関しては、色々と試してみてそのお子さんに合った対応・支援を見つけていくと良いのではないかと思います。
続いての記事では、わが家の事例をご紹介します。
どのような特性があり、どのような支援をしてきたか、学習障害の子どもを育てるにあたって大切なことをお伝えしてきます。
学習障害の診断を受けてから〜効果のあった支援・失敗した支援〜
〈参考文献〉
・文部科学省 学習障害児に対する指導について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.htm
・じょうずなつきあい方がわかるLD学習障害の本 監修 宮本信也
・LD児サポートプログラム LD児はどこでつまずくのか、どう教えるのか 監修 竹田契一 著者 太田信子他
この記事を書いた人
たなかまひろ
国分寺市在住、長女(平成19年生まれ)は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)、次女(平成20年生まれ)は学習障害(LD)と診断されている娘たちを子育て中です。
また今年2月からは、地元の国分寺市・国分寺市近隣(小平市・小金井市・立川市・国立市・府中市…)にお住まいの方で、発達障害、発達の凸凹、発達の偏り、場面緘黙、HSC(ひといちばい敏感な子)、発達のグレーゾーンetc…のお子さんを子育て中のお母さん・お父さんに、気軽に集まって頂ける居場所(親の居場所)
として「Salon Lokahi(サロンロカヒ)」という活動をしており、毎月2回オープンデーを開いています。
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