ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもを伸ばす3つのアプローチ
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは?
どんな特徴があるの?
原因は?
集団行動ができない、忘れ物が多い、切り替えが苦手・・など、子どものよくある悩みの解決策と、
親が自宅でできることを、まとめました。
子どもを少しでも伸ばしたい、
できることを増やしてあげたい、
問題行動を減らしたい・・・
そんな親御さんのヒントになることを願います。
ADHDとは?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、多動性・衝動性・不注意の3つの特徴が見られる発達障害のうちの1つです。
※この図ではわかりやすく理解していただくためにASDとADHDのみ表記しています。
3〜4歳に顕在化することが多く、ASDと比べてADHDの有症率は高く、小児期において総人口の5%〜10%とも言われています。
以前は、子どもの病気で成人すれば大部分は改善されると考えられていましたが、大人になっても治癒されるものではありません。
ASDに関してはこちらの記事をご覧ください
↓↓↓
【自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?癇癪、こだわり・・よくある4つの悩み別対処法】
ADHDの特徴
ADHDの経過や特徴は、多くの発達障害の特性と同じで個人差があり、その表出の仕方は様々です。
多動性
幼児期では、
- 座っていられない
- 走り回る
- じっとしていられない
- キョロキョロしている
- 一方的に喋り続ける
など、運動会やお遊戯会などでも集団行動ができず目立ってしまいます。
成人すると、
- 貧乏ゆすり
- 立て続けに質問する
- 目的のない動き
- そわそわする
幼児期のような目に見える多動性は収まってくるのが一般的ですが、このように「内的な多動性」に変化していくことが認められています。
衝動性
幼児期では、
- 順番が待てない
- イライラしやすい
- 急に乱暴になる
- 暴言を吐いてしまう
成人すると、
- 空気が読めない発言
- 衝動買い
- 突然キレて暴力的になる
しかし、素早い決断や決定をもたらすこともあり、組織のリーダーになっていく方も少なくありません。
不注意
幼児期では、
- 忘れ物が多い
- 迷子になる
- 順序立てて計画ができない
- 切り替えが苦手
- 話しかけられても聞いてないように見える
- 小さな刺激で注意がそれる
- ケアレスミス
成人すると、
- 忘れっぽい
- 集中力がない
- スケジュール管理が苦手
- 家事や仕事を順序立ててやることが苦手
- マルチタスクが苦手
一言で「不注意」といっても様々な側面があります。
ADHDの方はそのうちの、
- 1つのものに継続して集中できる「持続性」
- 周囲の様々なことに注意を向ける「分配性」
- 臨機応変に注意の対象を切り替えられる「転換性」
という、
多くの人が何気なく行っているこれらの要素の中に苦手な面があることが、「注意欠陥」という特性につながります。
ADHDの原因
多くの発達障害同様、ADHDの原因はわかっていません。
1940年代〜1980年代までは、軽度の脳障害による、微細な神経学的異常がADHDの症状を引き起こす・・というMBD(微細脳機能障害仮説)が主流でした。
現在は医学の進歩とともに脳障害仮説は否定され、
脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)の機能障害という説が提唱されています。
特に、ADHDはノルアドレナリン(交感神経を刺激する神経伝達物質)系の機能低下が見られるという仮説が、現在も検証されています。
ちなみに、
ノルアドレナリンが不足すると、
- 集中力の低下
- 判断力の低下
- 無気力・無関心
- 朝起きれない
- 夜寝付きが悪い
などの症状が見られるそうです。
逆にノルアドレナリンが過剰になると、
- ハイテンション
- パニック
- 音や臭いに敏感になる
- 細かいことが気になる
- 恐怖、自責、不安などのネガティブな感情
などなど。
確かに、よく聞くADHDの症状と似通った面がありますね。
ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌される物質なので、ADHDの特性がストレスに応じて目立ってくるのは、お子さまを見ていると顕著だと思います。
この辺りは、様々な仮説の中での検証段階ではありますが、今後、ADHDの子どもの理解や、対処において重要なポイントにもなりそうです。
参考文献:「発達障害」 岩波明 著
こんな時どうすればいい?困った時の対処法
幼児期は「手のかかる子」
就学すると「困った子」になりがちなADHDの子どもたち。
しかし、周囲の大人が正しい理解をして、丁寧に対処してあげることで、子どもの行動は変えることができます。
以下、よくある子どもの困った!への対処法をご紹介します。
じっとしていられない
声かけや注意ではなく、
「どうすればじっとしていられるのか?」と一緒に考えることが必要です。
また、
「じっとするということはどういうことなのか?」を具体化することや、
じっとしている時(できている時)を見逃さずに、肯定的な声かけをしていくことがポイントです。
集団行動ができない
集団は刺激が多いため、どうしても難しくなります。
- 誰の話を聞いたらいいのか?を明示する
- 一斉指示ではなく、本人が理解できる個別の指示
- 事前に視覚的に図解などで、動きや行動を把握させておく
できないことを練習させるのではなく、
「どうしたら本人に伝わるのか?」を観察してみましょう。
迷子になる
「待っててね」や「勝手に行かないでね」は、
曖昧な指示なので効果はありません。
例えばスーパーで、
- カートの持ち手を持ち、10まで数えながら一緒に押そうね
- 一緒にカゴを持って〇〇の歌をうたおうね
周りの刺激よりも、本人が意識を集中させることができることを探し、指示してみましょう。
忘れ物が多い
忘れ物が多いのは、環境が整っていないからです。
忘れ物をしないように注意するのではなく、「どうしたら忘れ物をしないか?」を一緒に考えていくことが必要です。
必要なものを【探す】作業もとても苦手なので、探すという課題を無くす環境も効果的です。
切り替えができない
乳幼児や緊急の時は、カウントダウンや歌と共に カラダを持ち上げ、場面そのものを切り替えることをオススメします。
ですが、
ゴールとしては、本人が自分自身で折り合いをつけることです。
子どもの意見に寄り添いながら、大人が枠を持って、根気よく向き合うことが大切です。
子どもを伸ばすために今すぐできること
子どもの心に寄り添う支援
まずは子どもたちを冷静客観的に観察し、子どもの理解を深め、本当に効果のある日常の支援をしていくこと。
例えば、パニックを起こした時に「いつ、どんな時、どのタイミングで、どのくらいの間」などノートにつけておきます。
メモをとることで、お母さん自身も感情的にならずに済む、という効果もあります。
統計を取ることで、
何が苦手か?
どんなことに反応するのか?
何にストレスを感じるのか?
を把握し、事前対処ができるようになります。
他の子と同じようになってほしいという思いもありますが、できる子と比べて「できない部分を修正する」のではなく、
小さなできたを増やしていくことが、結果的に子どもの成長を促すことになります。
皮膚感覚からのアプローチ(タッチケア)
タッチケアは、発達障害の関わらずすべての親子の関係性向上に有効です。
自己肯定感の下がりがちな発達障害の子どもは特に、触れられることでの安心感は無意識に深く刻まれ、一生モノの宝となります。
脳内の神経伝達物質という側面からみても、タッチケアを行うことでセロトニンの分泌が促されます。
前述したように、ADHDの特性はノルアドレナリンの機能低下(過剰分泌、不足)からくるとも考えられていますが、セロトニンは、同じ神経伝達物質のノルアドレナリンの過剰分泌を抑える働きがあります。
年齢に関わらず、タッチケアは子どもの心の安定と成長に、欠かせないものとなっていますので、是非とも積極的に取り入れてほしいと思います。
栄養からのアプローチ(食事療法)
発達障害の食事療法は、ADHDに関わらず、以前から注目されてきました。
アメリカでは、早くからグルテンフリーによる自閉症の改善について研究がされていました。
前述したように「神経伝達物質ノルアドレナリン不足」という側面でADHDをとらえると、
栄養面では、
チロシンやフェニルアラニンなどのアミノ酸を補うことで、ノルアドレナリンの分泌を増やす効果が期待できます。
こららの栄養素を多く含む身近な食品としては、
- 豆類(大豆、高野豆腐、きなこetc)
- 赤身の魚(かつお、まぐろ)
- 肉
- たらこ
- しらす干し
- 卵
などがあります。
チロシンは乳製品に含まれるカゼインや、小麦たんぱくのグルテンにも含まれます。
しかし、食事療法の基本として「カゼインとグルテンは控える」という基本がありますので、こちらは控えたほうがよいと思います。
また、バナナはセロトニンを増やす食べ物でもあるので、おやつ代わりに是非食べさせてあげたいですね。
まとめ
ADHDの特性は、
ある意味「よくある子どもの特徴」でもあるので、親の自己判断で決めて付けてしまうのは、いいことではありません。
しかし、
心配事が多かったり、本人が困っているようであれば、医師の診断を受けることが、親子にとってプラスになることもあり得ます。
「うちの子は、何をやってもできない」と、
ついつい叱ってしまうことも多いかもしれません。
怒ることで一時的に問題は収まったとしても、それは根本的な解決ではありません。
子どもの心に寄り添いながら、本当に効果のある支援をしていくことが大切です。
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